「一例一休」を見直す台湾【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.64(2017年11月1日配信)からの転載になります。

 

本誌11月号では台湾の板金業界を特集、台湾版「働き方改革」ともいえる「一例一休」(完全週休2日制)が法制化されてからの台湾製造業界の対応について紹介している。

ところが台湾では、労使ともに不評だった「一例一休」に関する労働基準法(労基法)改正の行政院案がまとまり、年内にも法改正が行われる可能性が出てきた。

 

特に企業の不満が大きかった7日連続勤務の禁止が撤廃され、最大で12日連続勤務が可能になる。

このほか行政院案では、時間外労働時間の上限規制について、「甲案」では、労使の合意があれば月46時間から54時間に引き上げ可能、「乙案」では3カ月で138時間として月54時間を超えても構わない ─ と、2案を挙げている。

休息日(所定休日)の時間外労働手当を4時間単位で計算する規定も撤廃され、実労働時間で計算されるようになる見通しという。

 

この改正に産業界は歓迎ムードだが、労働団体は、労働環境の悪化につながる改悪だとして反発している ― と台湾メディアは伝えている。

 

日本でも「日本再興戦略」改訂2015(2015年6月30日閣議決定)において、引き続き「働き過ぎ防止のための取組強化」が盛り込まれたほか、2014年に施行された「過労死等防止対策推進法」に基づき、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(2015年7月24日閣議決定)が定められるなど、長時間労働対策の強化が課題となっている。

 

すでに長時間労働を是正するため労働基準法36条に基づき、会社は法定労働時間(主な場合、1日8時間、週40時間)を超える時間外労働を命じる場合、労組などと書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが義務づけられており、中小企業でもこの対応が行われている。

 

業界を回っていると、景気回復の影響で多くの企業で繁忙感が出てきており、1日あたり2~3時間の残業が一般的で、土曜日を出勤にしている企業も目立って増えている。

その結果、社員の残業が月間40時間をはるかに超え、60時間、80時間に迫っている。

 

三六協定を社員代表と締結しているので、今のところ是正を求める指導などは行われていないが、これが常態化すればブラック企業として労働基準監督署からの改善命令も出かねない。

さらに人手不足感も高まっており、企業経営者は頭を痛めている。

 

日台ともに雇用情勢の改善を図る中で長時間労働をどのように打開するかが大きなテーマになっている。

少子高齢化が進み、人生100年時代を迎えたといわれるものの、働き方の問題は解決が難しい。

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