「CeBIT 2017」と「ハノーバー宣言」が持つ意味【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.41(2017年3月22日配信)からの転載になります。

 

3月20日から24日まで、ドイツ・ハノーバー見本市会場でIoTやデジタル化をテーマにした「国際情報通信技術見本市」(CeBIT 2017)が開催されている。

BtoBのITソリューションに関する世界最大の展示会で、IoT・ビッグデータ・クラウド・セキュリティなどITビジネス分野から、世界約70カ国・地域から3,300社の企業が出展している。

 

仮想現実(バーチャルリアリティ:VR)、人工知能(AI)、サイバーセキュリティ、自律システム、ヒューマノイドロボットといったデジタル最新技術に注目が集まる中で、日本はカントリーパートナーというメインの出展国となった。

 

カントリーパートナーになることは、昨年5月の日独首脳会談の際に、ドイツのメルケル首相から安倍首相に直接依頼があったという。

カントリーパートナーになった国は専用の展示スペースを持つことができ、CeBIT 2017の日本専用の展示スペース「ジャパンパビリオン」には118社・団体が出展している。

 

今年のCeBITのトップテーマは「d!conomy - no limits」

デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の無限のチャンスに焦点を当てている。

 

期間中は世界から20万人以上の来場者が訪れ、理想的なデジタル化の利用シナリオを体験するという。

開幕に先立ち日独両政府は、2016年に次官級で締結した「IoT・インダストリー4.0協力に関する共同声明」を閣僚級へと格上げし、官民の関係機関を巻き込んで、より広範囲なIoT協力を推進していく方針を確認した「ハノーバー宣言」を締結した。

 

新たに締結された協力項目は以下の9項目となった。

 

  1. IoT/インダストリー4.0に関するサイバーセキュリティ
    サイバーセキュリティ関連の国際標準化に向けた議論を加速
  2. 国際標準化
    IoT/インダストリー4.0に関する横断的モデルを2017年1月に日本からIEC(国際電気標準会議)に提案。国際標準化機関において、日独でこの分野の標準づくりの議論を先導
  3. 規制改革
    2016年のG7情報通信大臣会合で合意されたデータ流通原則の推進、OECD(経済協力開発機構)を活用したデータ流通原則の効果測定に関する協力
  4. 中小企業支援
    日本とドイツのIoT活用に秀でた中小企業の相互訪問および知見の共有の継続を推進。さらに、中小IoT企業連携を両国政府が資金面で支援
  5. 研究開発
    産業技術総合研究所とドイツ人工知能研究所(DFKI)の人工知能分野における協力MOUの締結。日本とドイツの企業間の共同研究開発を両国政府が資金面で支援(日本側はNEDOが実施)
  6. プラットフォーム
    民間のIoT/インダストリー4.0の推進団体間の協力
  7. デジタル人材育成
    モノづくりを中心とした既存従業員のデジタルスキルの習得およびスキル転換に向けた政策連携
  8. 自動車産業
    自動車産業政策に関する協議の実施。充電インフラ協力に加え、自動運転やコネクテッドカーなどの議論を開始
  9. 情報通信分野の協力

 

ところで、CeBIT 2017開幕とは別に、多国間での交渉の場であるG20のカンファレンス「Digitalizing Manufacturing in G20」が3月16日、17日の両日ベルリンで行われた。

 

会議に出席された法政大学デザイン工学部・西岡靖之教授は「しっかりと協調しつつフェアなルールで各国がやっていくことを確認するとともに、その際に、人の仕事がなくなることがないよう、また中小企業や途上国などが不利にならないように配慮していきましょう、というものだったように思います」と述べておられる。

 

さらに「全体として感じたことは、世の中はまず間違いなくデジタル化に動いているということです。その勢いは日増しに強くなっている。良いか悪いかはともかく、この流れはもはや止められない。ふたつ目に、そうしたなかで、さまざまな課題を先取りし、各国あるいは各地域のイニシアティブは、それぞれの価値観をもって、国際協調のなかで、しっかりと意見を主張し、そしてそのための活動を実行しているという現実です。ガラパゴスがうんぬんという前に、こうした場でしっかり人的ネットワークを構築し、相互の信頼関係のなかで国際的な合意形成を行うというスタンスが、残念ながら日本的意思決定プロセスと大いにかい離があり、そうしたイロハの部分から地道に変えていかないと日本の未来はない、と思ったりもしました」と感想を述べておられた。

 

世界の潮流をしっかりと把握しながら製造業のデジタル化に対処しなければいけないと、改めて思い直しました。

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