好調を持続する受配電盤・制御盤業界


社会インフラの老朽化にともなう大規模修繕や省エネ化対応、さらには2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向けた関連施設・ホテルの建設、交通インフラの整備なども加わり、ビル・公共施設・病院の新築やリニューアル、さらには2027年開業を目指すリニア中央新幹線建設などの関連投資が活発化してきています。

 

ビルや施設建設に絡んで昇降機や空調設備向けの受配電盤・制御盤に対する旺盛な需要が見込まれています。

 

一般社団法人日本電気工業会が発表した1月度の配電・制御機器の出荷額は326億円(前年同月比108.7%)となりました。

昨年4月にトップランナー基準(第二次)の適用が開始された標準変圧器(2000kVA以下)は、太陽光発電用の受電設備向けが好調を維持しており、6月以降、8カ月連続で前年同月を上回っています。

 

受配電盤・制御盤などの出荷台数が上昇基調で推移していることを受け、筐体や機構部品を加工する板金サプライヤーの仕事量も増大しています。

反面、製品価格が下落傾向にあるため受注単価は下がっていますが、出荷台数は高原状態を持続しています。最近は盤業界も小型化と低消費電力化をポイントに製品開発が行われており、軽薄短小化もトレンドとなっています。

 

ソーラーバブルとも言われてきた太陽光発電用の需要に関連しては、対応するパワーコンディショナーや接続箱、受配電盤が盤需要を押し上げてきました。

しかし、太陽光発電所は建設が認可されても、実際には着工していないところがかなりあることから、認可取り消し処置が発令されたり、電気の安定供給という側面から、電力会社が買い取りを制限したり、買い取り価格の下落などによって激変してきています。

 

しかしながら、しばらくは今の需要が継続するという見方が大勢で、依然として期待は高いものがあります。

このほか、再生可能エネルギーは脱原発にも対応するものとして期待されており、太陽光発電以外にも風力や地熱などの活用増大が期待されています。

 

また、鉄道関連でも、車両の速度制御を行う回生ブレーキが作動する際、レールと車輪の摩擦によって発電される電力は、従来はそのまま配電して他の車両などの運転に活用されていました。しかし、最近は回生ブレーキによって発電された電力をいったん発電所内の蓄電池に蓄電した後に活用するスマートグリッド運用が始まっており、こうした分野でも新たな需要が生まれ、発電された高圧な直流(DC)電気の制御や、低消費電力制御のニーズに対応する受配電盤、制御盤、蓄電池などへの需要が高まることが予想されています。

 

また、次世代交通システムに対応する燃料電池自動車(FCV)、電気自動車(EV)への期待が高まっており、EVの充電ステーションや水素充電ステーション設置に対する機運も高まっています。

水素充電ステーションは爆発の危険性があることなどから施設の建設費用が高く、大がかりな投資になることが予測されており、動向が注目されています。

 

受配電盤、制御盤業界は今後も好調を持続しそうな気配です。

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