太公望の気持ちになって事業を考える【メルマガ連携】


※この記事は、「Sheetmetal メールマガジン」No.5(2015年2月10日配信)からの転載になります。

 

最近お客さまを歩いて気がついたことのひとつが、魚釣りとの類似性。

釣り糸をたらして、ひたすら手ごたえが来るのを待つ。

仕事が来るのをじっと待つ姿が似ている。

 

釣り糸をたらす人がどんな獲物を釣り上げたか気になるので、周りの釣り人の様子を伺う。

自分のところに引きがこないのに、別のポイントでは他の釣り人がドンドン魚を釣り上げている。

ポイントが悪いのかもしれないと、獲物がかかっている場所へ移動する。

そうしていつの間にか、そのポイントに周りの釣り人が集まって、競うように釣り糸をたらすことになる。

 

そうなると引きが悪くなって、これまでのようには釣れない。

ところがある釣り人だけは変わることなく獲物をゲットしている。

自分には引きがないのに、なぜその釣り人だけが釣れるのか。

不思議に思って聞く。「どんな仕掛けで、餌は何を使われているのですか」。

 

釣り人だって早々には教えてくれない。

しかし見ていれば、次第に様子が分かってきて、仕掛けを変えたりするうちに釣果も生まれ、やっと周りの釣り人と対等に話ができるようになる。

 

喩えは悪いが、板金業界でも限られた仕事量の中で全体の仕事が薄ければ、「あの業界が好調なようだ」「あの会社には仕事がありそうだ」などと、忙しい同業の取引先に営業したり、関連業界で仕事を探そうとしたりと、ある意味では釣りの世界と同じような仕事の奪い合いをしている。

 

ところが最近は、そんなポイント周辺に、魚群探知機を装備した高速船で乗り付け、巻網でごっそりと獲物をさらっていく海外からの不心得者が現れた。

その結果、よく釣れていた人も、そうでなかった人も、一様に釣果が得られにくくなってしまうことがある。

 

これと類似した出来事が業界でも起きています。

発注元がコストの安いところで製造する、適地適産という考え方が一般的となって、これまで発注のあった仕事が海外に流失するということが起きています。

 

そこで、釣り人の気持ちになってこれからの釣果を展望すると、魚影が濃い釣りのポイントはどこか、しっかりと捕まえることが大切です。

そのためには天候から気温、風力、風向を事前に調べ、それにあわせた仕掛け、餌の準備が必要です。

時には撒き餌をまいて獲物を呼び寄せたりすることも必要になってきます。

ただ待つのではなく、釣果を達成するための準備が必要です。

 

板金業界でも同様に、魚影――業況が良い業種・業界を探すこと、そしてその業界ではどのポイントでヒット率が高いのかを調べることが大切です。

さらに天候、気温、風力、風向など取り巻く環境をしっかり把握するインテリジェンスが重要です。

これらは日々の新聞やインターネットなどを分析すれば分かることで、公になっている情報の中に必要なネタはあります。

しっかりと情報を集め、分析すること――インテリジェンスから始めなければいけません。

 

周りで釣果が生まれないから船で沖合いに出るのもひとつですが、沖に出たからといってよく釣れる訳でもありません。

自分を釣り人の立場に置き換えて考えると、また違った観点で仕事を探すことができると思います。

あっちの方で釣れているから、そっちへ行くということでは、堂々巡りとなってしまいます。

 

仕事を釣り上げる太公望にもインテリジェンスが必要になっています。

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