北海道の現実


札幌の雪祭りが2月5日から始まりました。

今年は雪も多く、雪像製作に雪不足の影響はなかったようです。

 

仕事で2月3日、4日と札幌、旭川へ出張しました。

雪祭り開催前ということで、ホテルの宿泊料金もオフシーズン価格でリーズナブルでした。

しかし、開催前夜の4日からシーズン価格となり、一気に3倍の価格になるようです。

 

チェックアウトの際、フロントで一緒になった台湾からのツアー客に話を聞くと、彼らも宿泊費を含む旅行代金が上がる前に、観光に来たと話していました。

そして驚くことに、雪祭り会場では雪像を作る作業を見学したとのこと。

出来上がった雪像を見るよりも、その過程をリアルに見た方が面白い――と話していたのが印象的でした。

聞くと、こうしたツアー企画が台湾では人気が出ているということです。

 

目的地に向かうため乗車したタクシーの運転手に話を聞くと、今年の札幌市の除雪予算は当初160億円だったそうですが、大雪が続き、シーズン半ばで予算が尽き、急遽60億円の追加予算措置を行って、除雪作業に当たっているとのことです。

当初計画した1日あたり1億円の予算では収まらない、半端ではないお金です。

たかが雪、されど雪です。

 

しかし、タクシー運転手によれば、除雪の仕事が冬場の土建業者にとってはなけなしの仕事。

それが地域経済の活性化にも繋がっているということですから、雪様様ということになるようです。

 

たしかに、雪祭りにも昨年は海外を含め230万人が来場しており、1人当たり1万円を消費したとしても230億円。

交通費や宿泊費を考えると、期間中、北海道内には1,000億円以上のお金が落ちる計算となります。

日本のGDPの4%が北海道といわれているので、北海道の総生産額は21兆円。

それを分母に考えると大変な経済効果です。

 

道央道を走ると2時間で旭川に着きます。

途中の景色は雪に覆われた山ばかり。

沿線に見かける建物の数は少なく、工場などの大型の建物はほとんどありません。

それだけに観光立国として経済活動を支えなければ、北海道経済が立ち行かないという実態が見えてきます。

 

旭川では、旭山動物園にほど近い旭川工業団地内にある板金工場を訪ねました。

仕事は道内から受注するものの、納品先の大半が道外。

社長は次男の子息を関東に住まわせて、営業開拓を担当させると話しておられましたが、道内の得意先だけに頼っていては、事業の拡大は望めないということのようです。

 

その一方で意外に知られていないのが、旭山動物園、札幌円山動物園などの園内の施設に板金需要があるということです。

来園者が動物を飼育されている檻の外から見るための柵の手摺、階段など、板金製品はいろんなところに使われており、こうした需要を専門で受注する業者が札幌近郊にありました。

 

また、訪問した旭川のお客さまには2人のご子息がおられますが、いずれも「旭川鉄工青年部」に所属され、全国的に有名になった「鉄工パフォーマンス」のメンバーでした。

 

2008年、旭川鉄工青年会が鉄工業界に携わる者として「鉄」をテーマにアピールすることを計画。

鉄を工具グラインダーで仕上げる時に飛散する鉄粉を火花に見立て、音楽に合わせてグラインダーで鉄を研削し、火花を飛散させるパフォーマンスをアピールするようになりました。

これが様々なイベントで公開され、評判となっています。

そんなメンバーの一人となって、地元の産業活性化に努力されていることを教えていただきました。

 

全国を歩くと、現実の中で活動する人々の息吹が分かります。

現場、現実、現物を改めて認識しました。

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