特集

最新設備を導入して成長する首都圏アーバン工場

半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指す

BREVIS-AJ導入で生産能力増強・加工領域拡大

株式会社 テイ.エス.エス

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画像:半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指す2022年3月に導入したコンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ(3kW)。LC-1212αⅢNT(2kW)との入れ替えで、切断スピードは3~5倍に向上した

BREVIS-AJを「事業再構築」に生かす ― 半導体製造装置市場へ方向転換

画像:半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指す代表取締役の八木惇一氏

㈱テイ.エス.エスは2022年3月、コンパクトファイバーレーザマシンBREVIS-1212AJ(3kW)を導入した。導入後20年以上が経過したLC-1212αⅢNT(2kW)との入れ替えで、同社初のファイバーレーザマシン。「第3回事業再構築補助金」に採択され、アーク溶接ロボットとセットで導入した。

事業再構築補助金に申請時の事業計画名は「POSレジから半導体製造装置市場に方向転換でV字回復を目指す」。コロナ禍の行動制限や新規出店見送りにより、主力だったPOS情報端末向けの仕事が大幅に落ち込んだ。一時は70%減となり、2期連続の赤字に陥った。この危機的状況を受けて、かねてから取り組んでいた高付加価値製品・多品種少量生産へのシフトを加速させ、文字どおり「事業再構築」を目指した。

2021年には早くも大手半導体製造装置メーカーとの直接取引を実現。旺盛な半導体需要にけん引され、同社の業績も回復へ向かった。加工材料や要求品質をはじめ生産内容も大きく変わることになったが、計画どおり、ファイバーレーザマシンBREVIS-AJとアーク溶接ロボットの貢献もあって、今期(2022年9月期)は3期ぶりの黒字達成を見込んでいる。コロナ禍以前にはまだおよばないものの、「V字回復」へのとば口に立ったかたちだ。

  • 画像:半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指す簡易板取り機能i-CASで端材にパーツを割り付ける益子直己主任
  • 画像:半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指すBREVIS-AJで加工した真鍮・板厚0.5㎜のスペーサー。今後はアルミ・銅・真鍮といった高反射材や、12㎜までの中板の仕事も開拓していく

川崎のアーバン工場 ― JIS Q 9100の認証も取得

同社は1986年の設立以来、大手情報通信機器メーカーの1次サプライヤーとして精密板金加工・プレス加工を手がけてきた。川崎市多摩区の幹線道路沿いに立地する4階建ての工場建屋で、敷地面積は100坪、隣地はファミリーレストランというアーバン(都市型)工場だ。

従業員数31名と小規模ながら、試作から量産まで ― 板金加工からプレス金型製作、プレス加工(海外生産を含む)までの一貫生産体制を構築し、得意先が求める最適な品質・コスト・納期を実現してきた。

2013年には難関とされる航空宇宙・防衛産業の品質マネジメントシステムJIS Q 9100の認証を、コンサルタントに委託することなく独力で取得。要点をかみ砕いた手描きのポスターを貼り出すなど、ユニークな手法によって社内の品質管理能力を高め、航空宇宙産業への参入を果たした。そのほか「神奈川がんばる企業2018」「かわさきSDGsパートナー」など各種認定も取得し、地域での存在感を高めている。

  • 画像:半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指す事業再構築補助金を活用してBREVIS-AJと一緒に導入したアーク溶接ロボット
  • 画像:半導体製造装置への方向転換で「事業再構築」を目指す主に金型製作に用いるワイヤ放電加工機

会社情報

会社名
株式会社 テイ.エス.エス
代表取締役
八木 惇一
所在地
神奈川県川崎市多摩区菅3-11-37
電話
044-948-1025
設立
1986年
従業員数
31名
主要事業
各種通信端末・半導体製造装置・航空機向け部品の精密板金加工・プレス加工、金型設計製作
URL
https://www.j-tss.co.jp/

つづきは本誌2022年9月号でご購読下さい。

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