特集

堅調に推移する農業機械の板金需要

「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開

70周年を目指し“生産プロセス改革”を実行

株式会社 デリカ

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画像:「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開自走式マニアスプレッダ(堆肥散布機)の組立ライン

「3点リンク」と「マニアスプレッダ」が主力

画像:「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開製造部の大久保盛司次長(左)と相野田裕康係長(右)

㈱デリカは、長野県松本市に本社・工場を置く農業機械メーカー。トラクタと作業機の連結機構である3点リンクを中心とした「トラクタ部品」、マニアスプレッダ(堆肥散布機)・飼料米破砕機・マルチはぎ機・野菜移植機といった自社ブランドの「農業用作業機械」、構造物用などの「大型フレーム」の3つの事業を展開している。売上構成で見ると、「トラクタ部品」が50%(タイ工場分は除く)、「農業用作業機械」が40%、「大型フレーム」が10%となっている。

「トラクタ部品」の主力製品である3点リンクは、国内トラクタメーカーが主な得意先で、得意先ニーズに柔軟に対応した製品開発と迅速なデリバリーにより国内シェア80%をほこる。2008年にはタイへ工場進出し、東南アジアに生産拠点を持つ日系トラクタメーカーへも供給している。

「農業用作業機械」の主力製品であるマニアスプレッダは、畑作・水田・果樹園・ハウスなどで、化学肥料ではなく、畜産や農業の過程で廃棄される堆肥を散布する農業機械。効率的に“豊かな土づくり”を行うことができ、同社が提唱する「循環型有機農業」に貢献する。

マニアスプレッダは、エンジン・サスペンション・運転席を搭載した「自走式」と、トラクタに連結する「けん引式」の2つに大きく分けられる。エンジン・油圧機器・ゴムクローラなどの購入品を除くと、ほとんどが板金部品で構成される。自走式が搭載するエンジンは4馬力から82馬力までと幅広く、小型機種はガソリンエンジン、10馬力以上の機種はディーゼルエンジンを搭載している。

  • 画像:「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開2021年3月に導入したファイバーレーザマシンREGIUS-3015AJ(6kW、10段パレットチェンジャー付き)
  • 画像:「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開曲げ工程の主力マシンHG-2204。曲げ長さ4mまで対応する

「有機農業」に貢献する農業機械

主力製品のひとつであるマニアスプレッダは、「有機農業」に貢献する農業機械として、台数・金額ともゆるやかな増加傾向で推移している。

農薬や化学肥料を減らし、自然環境との調和を大切にする有機農業は、農作物の付加価値を高める方策のひとつとして少しずつ市場に定着してきた。近年は、地球環境の保全を重視するSDGsの理念と合致することから、有機農業に対する関心がますます高まっている。農薬は生物の多様性を損なうおそれがあり、化学肥料は土を痛めるうえ、製造時に化石燃料を消費するものもあるためだ。農林水産省が2021年5月に公表した「みどりの食料システム戦略」では、有機農業の農地を2050年までに全体の25%にする目標を掲げている(現状は1%以下)。

  • 画像:「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開マニアスプレッダの荷台部分の溶接作業
  • 画像:「循環型有機農業」に貢献 ― 自社ブランドの堆肥散布機を展開マニアスプレッダの荷台部分の部品。塗装を終え、組立作業を行っている

会社情報

会社名
株式会社 デリカ
代表取締役会長
戸田 竹廣
代表取締役社長
金子 孝彦
所在地
長野県松本市大字和田5511-11
電話
0263-48-1184
設立
1953年
従業員数
160名
主要事業
農業用作業機械(堆肥散布機・バキュームカー・飼料米破砕機・マルチはぎ機・野菜移植機など)、トラクタ部品(3点リンクなど)、大型フレーム
URL
https://www.delica-kk.co.jp/

つづきは本誌2022年4月号でご購読下さい。

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