特集

変種変量生産に対応するベンディング自動化システム

多工程曲げ・小ロットの製品ほどHG-ATCの特徴が生きる

「ものづくりを楽しみ、社会に役立つことが喜び」

株式会社 中沢工業所

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画像:多工程曲げ・小ロットの製品ほどHG-ATCの特徴が生きる自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCの操作をする入社8年目の中島さん

板金加工とプレス加工の取り合わせ

画像:多工程曲げ・小ロットの製品ほどHG-ATCの特徴が生きる中澤志光社長

㈱中沢工業所は精密板金加工と金属プレス加工を軸に、自動車や医療機器の部品、空調設備などの製造に携わっている。変種変量生産・多品種少量生産に対応するために主要設備をネットワーク化。生産管理システムAPC21を活用して、ものづくりのデジタル化にも積極的に取り組んでいる。さらに3次元測定機2台のほか、各種測定機器を活用して品質管理を徹底している。

同社は1937年、東京都芝区(現・港区)浜松町で自動車部品のプレス加工業をスタート。1946年に群馬県高崎市に移転し、家庭用金物・ミシン部品・電気部品・通信機部品・自動車部品などを製造した。1959年に同市内に工場を新設移転、㈲中沢工業所として法人化し、電気時計部品、テレタイプライター部品・筐体を製造するようになった。1960年代からは試作や多品種少量生産に対応するため板金加工に取り組むようになり、1967年からは検体検査装置関連の仕事を受注。1971年には本社工場を高崎金属工業団地内に移転、自動車用コントロールユニット外装部品などの量産品の加工に対応していった。

プレスと板金の売上はイーブン

これまでは売上全体の70%が自動車部品のプレス加工、30%が医療機器などの板金加工だったが、2020年4月以降はコロナ禍により自動車部品の仕事が大きく落ち込んだ。

一方、医療機器関連は新型コロナ対応により、国が高度な医療機器を導入した医療機関に対して補助金制度を設けたこともあって、2020年10月以降から医療機器メーカーからの発注が従来の1.5~2倍に増えた。そのため、板金加工部門の売上が伸び、現在のプレス加工と板金加工の売上比はイーブンになっている。

EVシフトでプレス加工部門の将来はきびしい

中澤志光社長は「世界的にEVシフトが加速しています。ガソリン車用の3万点の部品のうち1万点以上が不要になり、自動車関連業界では多くの雇用機会が失われるといった予測も出ています。プレス加工を中心とした自動車部品の先行きはきびしいと見ています。それだけに好調な医療機器を中心に板金部門の成長が求められます」と、きびしい見方をしている。

中澤社長は、「2050年カーボンニュートラル」に対応する「脱炭素社会」、さらには「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された国際目標「SDGs」に対応することがこれからの企業活動に求められており、ものづくりプロセスの見直しが求められてくると考えている。

画像:多工程曲げ・小ロットの製品ほどHG-ATCの特徴が生きる26工程曲げの製品はVPSS 3i BENDで6種類の金型レイアウトに分けてプログラムを作成し、加工した

複雑な曲げ加工にも対応する曲げロボット

「当社では複雑な曲げ加工が必要でリピート率も高く、ロットが300個、500個ある医療機器部品を3世代の曲げロボット ― ①1997年導入のBM-100、②2013年にBM-100をリプレースして導入したASTRO-100NT+HDS-1030NTR、③2017年にものづくり補助金を活用して導入したEG-6013AR+EGROBOTを活用して対応してきました。現在はASTROとEG-ARの2台を運用しています。EG-ARはベンディングマシン内にロボットアームを挿入することが可能になり、これまで自動化が困難だった小物製品の曲げ加工ができるようになりました」。

検体検査装置に使われる機構部品や筐体は、曲げ精度がきびしく、しかも曲げ工程数が多いメカ部品が多い。そのため、EG-ARの導入に際して13工程曲げという曲げ工程数の多い部品の加工をアマダの実証加工センターに依頼しました。送られてきた加工サンプルの完成度を見て、納得して導入しました。EG-ARは人手での加工により近づいていると感じました」。

「EG-ARは、メカ部品やOA機器、ETC部品の加工に威力を発揮しています。医療機器は厚生労働省の認証が必要でモデルチェンジまでのサイクルが長いです。そのため、比較的リピート率の高い製品が多く、曲げロボットで対処できれば合理化につながります」。

「プレスから板金へのシフトが起きている一方で、コストや品質の面から板金で加工していた製品をプレス加工に置き換える動きも出始めています」。

「型費償却という課題はありますが、ロット数があれば、原価低減効果が大きくなるので、型化に踏み切る動きは以前からありました。当社ではプレス金型の製作からプレス加工まで一貫して対応する設備を備えているので板金でもプレスでも対応できますが、せっかく導入した曲げロボットの仕事量が減るのは困りました」(中澤社長)。

  • 画像:多工程曲げ・小ロットの製品ほどHG-ATCの特徴が生きるファイバーレーザ複合マシンACIES-2512T-AJ+AS-2512NTK+ULS-2512NTK
  • 画像:多工程曲げ・小ロットの製品ほどHG-ATCの特徴が生きるものづくり補助金を活用して導入したベンディングロボットシステムEG-6013AR

会社情報

会社名
株式会社 中沢工業所
代表取締役
中澤 志光
所在地
群馬県高崎市倉賀野町2918-14
電話
027-346-3611
設立
1959年(1937年創業)
従業員数
65名
主要製品
自動車部品、医療機器製品、OA機器部品、空調設備、家庭用品
URL
http://www.nexus-n.co.jp/

つづきは本誌2021年11月号でご購読下さい。

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