特集

第33回 優秀板金製品技能フェア 優秀作品紹介(その1)

「こんな時代だからこそ、楽しんで挑戦する!」

「曲旋」が「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞

ナサ工業 株式会社

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画像:こだわり抜いたスムーズな動き ― 「多工程のミックス」で実現①「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞した「曲旋」(SUS304・板厚0.5㎜、W250×D250×H250㎜)/②外周のみ手加工(つぶし)を行い、立体的・曲線的な表現を実現した。外周の曲げは対角線上に繰り返され、時にはペンチを使用するなどの工夫をしている

仕上がり形状から展開の想像がつかないものを実現

画像:こだわり抜いたスムーズな動き ― 「多工程のミックス」で実現左から長澤貢多社長、曲げ加工を担当した川口真司さん、設計を担当した池田政博さん、チームリーダーの仲田好廣さん、作品名を考えた川畑聖鳳さん、曲げ加工を担当した世利智則さん、長澤敏光専務

「第33回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)の「単体品の部」に出品したナサ工業㈱「曲旋」が、「卓越する技能を用い、独自の手法を開拓したと思われる作品」に授与される「中央職業能力開発協会会長賞」を受賞した。

この作品は「仕上がりの形状から展開の想像がつかないものを実現する」をコンセプトに、製作に携わった社員たちが構想。外周加工のみ手加工(つぶし)した立体的かつ曲線的なものとなっている。

「品質・コスト・スピード」を提供する体制を強化

ナサ工業は長澤貢多社長の父、長澤儀久会長が1969年に板金加工会社として創業した。1974年にナサ工業㈱として法人化、配電盤の受注生産を開始。1989年頃からメラミン焼付塗装を手がけ、配電盤メーカーとしての基盤を確立。昇降機関連部材の製作・取付工事を新たな事業分野とするようになった。検体検査装置などの医療機器分野にも進出。現在はエスカレーター外装パネルなどの昇降機設備、配電盤関連、医療機器が主事業となっている。

現在は従業員数111名の中堅企業にまで発展した。製造に携わる機械工作課、板金工作課、塗装課などのスタッフは六十数名。昇降機カバーの意匠設計から板金設計・電気設計まで行う3次元CAD SolidWorksを7台導入(別にSheetWorksも1台導入)、SolidWorksによる製品モデルの作成からバラシ・展開を行う板金設計課のスタッフは12名。展開データからのCAM作成を行うプログラマは3名。専任営業担当者は5名で、九州地区で精力的に活動している。

2016年に導入したベンディングロボットシステムEG-6013AR+EGROBOT、2019年に導入した自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCなどの自動機を中心に、高水準の「品質・コスト・スピード」を提供する体制の強化を進めている。

コロナ禍による影響で2020年度の売上は前年同期比で2ケタ減になるが、2021年度は上向きを予想している。

  • 画像:こだわり抜いたスムーズな動き ― 「多工程のミックス」で実現「曲旋」の展開図
  • 画像:こだわり抜いたスムーズな動き ― 「多工程のミックス」で実現加工を終えた「曲旋」。下から見ると外周の曲げが対角線上に繰り返されていることがよくわかる

板金フェアへの参加はモチベーションアップとスキル向上に貢献

板金フェアへの挑戦は2010年度から継続している。第25回(2012年度)の「単体品の部」に出品した「壺」が金賞、第28回(2015年度)の「組立品の部」に出品した「スケルトンエスカレーター」が「経済産業大臣賞」、第29回(2016年度)の「単体品の部」に出品した「FLAT-PANEL-CHAIR」が「厚生労働大臣賞」を受賞している。第30回(2017年度)では「組立品の部」に出品した「ギアクロック」が「神奈川県知事賞」、「単体品の部」に出品した「Stitched Tube Ring」が「日刊工業新聞社賞」、「高度溶接品の部」に出品した「じょうろ」が銅賞を受賞するという「トリプル受賞」を達成した。同社では板金フェアへの応募を社員のモチベーションアップに役立たせている。

長澤社長は「当社には、ものづくりに楽しみを感じて入社する人が多いです。しかし、日々業務に追われ、その初心から遠ざかってしまうこともあります。そこで、年に一度の板金フェアを『ものづくりの楽しみをみんなが思い出せるイベントにしよう』と考え、参加を奨励しています」。

「当社は2015年に『一塊』となり『上質を追求』するという経営理念を定め、日本一の中小企業になることを目標に掲げました。板金フェアでも日本一を目指そうと全社を挙げて推進、社内でアイデアや参加希望者を募り、その中から分野ごとにメンバーやチームリーダーを決めて製作に取りかかります。各チームには私や専務、役付きのベテラン社員がサポーターとして加わり、助言をするという仕組みも導入しています。全社一丸となって取り組むことで、作品のレベルだけでなく社員のスキル、意識も向上しています。作品が入賞した際には祝賀会で大いに盛り上がりますし、当社にとって重要なイベントのひとつになっています」と板金フェアへの取り組みについて語っている。

  • 画像:こだわり抜いたスムーズな動き ― 「多工程のミックス」で実現パンチ・レーザ複合マシン:LC-2012C1NT+ASR-48M
  • 画像:こだわり抜いたスムーズな動き ― 「多工程のミックス」で実現2020年に導入した自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC

会社情報

会社名
ナサ工業 株式会社
代表取締役
長澤 貢多
所在地
福岡県糟屋郡須恵町大字佐谷1323-1
電話
092-932-1126
設立
1974年(1969年創業)
従業員数
111名
主要事業
バイオ・医療機器部品、車両部品、FA機器等ケース、各種制御盤、配電盤設計・製作エスカレーター外装工事、昇降機関係部品、ステンレス・アルミケーブルダクト、その他電機工事金物各種メラミン焼付・粉体塗装、シルク印刷、サイン・建築金物ほか
URL
http://www.nasakogyo.co.jp/

つづきは本誌2021年5月号でご購読下さい。

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