板金論壇

商品開発の要諦「メーカー目線」と「消費者目線」 ― 「4P」「4C」を考える

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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コロナ禍で拡大したキャンプ人気

「密」を避けて楽しめるレジャーとして、キャンプ人気が拡大している。外出自粛を背景に、自宅のベランダで気軽にアウトドア気分を味わう「ベランピング」も耳にするようになったが、近所への配慮もあり、そこまで大きな伸びは期待できない。しかし、これからの季節、屋外でのキャンプは子どもたちを非日常に連れていってくれ、良い体験になる。また、ソロキャンプで夜空の下、焚き火にあたりながら星空を眺めるのも、ストレスを忘れさせてくれる。設備が整った有料キャンプ場だけでなく、より野趣を求めて山や森、河原などに出向く人も増えている。

デパートやホームセンターではアウトドア用品専門の売り場を特設したり拡張したりといった動きが顕著になっているという。キャンプを題材にした漫画やテレビ番組の影響もあって愛好家はますます増えているようで、親子連れだけでなく、カップルや中高年にまで対象が広がっている。1人でソロキャンプを楽しむ人も増えた。

キャンプ用品を金属製品化

こうしたキャンプブームに乗ろうと、板金業界でも自社商品としてアウトドア用品を開発、自社ブランドのオンラインショップを開設して販売を始める企業が増えてきている。

小誌3月号4月号の「Interview」「SheetNow」で紹介した3社もキャンプ用品の製造・販売をされている様子を語っていた。共通していたのは、開発したキャンプ用品が「焚き火台」という点。この3社以外にも、板金加工の技術を駆使して「焚き火台」を開発した企業は確認できただけで10社を超える。

「焚き火台」に集中した商品化

キャンプの醍醐味は食事の準備から始まるワクワク感であり、そこに「焚き火」は欠かせない。しかし、石などを拾ってきて窯づくりをするのはなかなか難しい。コの字型にしつらえても高さが不均一だったりして、知恵や工夫が必要だ。

そこで、熱に強い鋼板を加工してつくられた組み立てしやすい「焚き火台」が人気を集めている。コンパクトで、女性や初心者でも簡単に組み立てられるのもブームの一因と考えられる。また、災害時にも活躍が期待されている。

各社のプロモーション動画を見ると、「焚き火台」の特長として使いやすさを謳い、ピザなども焼けるダッチオーブンなどの機能も紹介されている。

自社のオンラインショップで販売するだけならそれほど高額な販売経費はかからないが、卸しを通じてホームセンターで販売するとなると利益率は減少し、数を出さなければ採算点には届かない。また、楽天、YahooショッピングなどのECサイトに出店すれば出店費用も発生してくる。

開発した企業の中には地元の自治体と連携して「ふるさと納税」の返礼品として採用してもらった例、クラウドファンディングを使って先行予約者を募集し、目標金額の達成状況をみて商品化に着手する例もある。

各社が目指しているのは目先の利益ではない。こうした取り組みを契機に、市場で求められているモノを察知して商品を開発し、自社商品の品数を増やし、数年後には売上の10~20%を自社商品によって占めることを目標にしている。

つづきは本誌2021年4月号でご購読下さい。

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