「複合型一貫生産体制」を武器に「デザインイン」を積極展開
板金加工企業とのパートナーシップを強化、「コイルセンター事業」「プレス・金型事業」とのシナジー創出
西山鋼業 株式会社
「デザインイン」のビジネスモデルを推進
西山鋼業㈱は関東・南東北エリアに計4カ所の生産拠点を持ち、創業以来の中核事業である「コイルセンター事業」と、1997年以降に新規参入した「プレス・金型事業」を展開している。
同社の特徴は、材料供給から金型設計・製作、量産プレス加工、一部ユニットのアセンブリーまで社内で対応できる生産能力だ。加えて、プレス・金型・板金・めっき・塗装・樹脂・切削など30社あまりの協力企業ネットワークを持ち、コーディネーター機能を強化することで「複合型一貫生産体制」を構築。そのうえで得意先の設計段階から参画し、プレス加工による量産を視野に入れた技術提案を行いながら、一括受注を獲得する「デザインイン」のビジネスモデルを推進している。
「コイルセンター事業」と「プレス・金型事業」
「コイルセンター事業」は、浦安工場(千葉県)と鷲宮工場(埼玉県久喜市)でレベラーシャーラインやスリッターラインによりシート材やフープ材を生産。鷲宮工場と横浜事業所(神奈川県)でシャーリングラインによりスケッチ材の加工・販売を行っている。得意先は約1,000社。自販率100%をほこる独立系コイルセンターとして、長年にわたり顧客ニーズに寄り添う企業風土を育んできた。
「プレス・金型事業」は、1997年に開設された福島事業所(福島県田村市)で展開している。福島事業所はもともと「コイルセンター事業」の拠点として考えられていたが、グローバル化と海外シフトにより国内のプレス加工企業が減少し、発注先をなくして困っている得意先からの要請に応えるかたちでプレス加工事業への進出を決断した。
金型設計・製作は、2003年にスタート。事業開始当初は金型メンテナンスに自社で迅速に対応できるようにすることが目的だったが、今ではマシニングセンタ・ワイヤ放電加工機・平面研削盤などの金型加工設備も充実し、自社の生産ラインに最適な金型を社内で設計・製作している。金型の一部外販にも対応し、検査治具や溶接治具の設計・製作・販売にも力を入れていこうとしている。
現在、福島事業所(プレス・金型)の売上規模は約12億円で、同社の売上全体の10%程度を占める。主な得意先は約40社。売上構成は、電機関係(OA機器や通信機器など)が約40%を占め、建材関係(住宅用金具や駐輪場システム、学校向けタブレット端末の充電保管庫など)、空調関係(ダンパー、エルボなど)、自動車部品と続く。
2020年9月期の売上高は、コロナ禍の影響により西山鋼業全体で10%減、福島事業所(プレス・金型)は20%程度の減少となった。4-6月期はOA機器関係の生産が停滞したために大きなダメージを受けたが、7月以降は順次回復。売上金額が大きい金型の大型案件も増え始めている。
会社情報
- 会社名
- 西山鋼業 株式会社
- 代表取締役社長
- 西山 寬
- 本社
- 東京都荒川区荒川5-18-4
- 福島事業所
- 福島県田村市滝根町広瀬字舟ヶ作3-16
- 電話
- 03-3892-1111
- 設立
- 1957年(1923年創業)
- 従業員数
- 145名(嘱託・パート含む)
- 事業内容
- 鉄鋼製品加工販売/金属プレス加工/金型・治具の設計・製作
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