特集

安定成長する医療機器を支える板金加工

画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー

来春、ブランク加工専門工場を本格稼働 ― ファイバーレーザ複合マシンを2台導入

シンテックス 株式会社

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画像:画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー左:塗装・サブアッシーまで行った画像診断装置(X線診断装置・CT)のサブユニット/右:検体検査装置の外装カバー。FR曲げでR形状に成形している。表面処理鋼板・薄板・R形状・複雑形状の製品が多い

医療機器部品と自社ブランドの福祉機器

画像:画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー代表取締役の八木澤穣氏

シンテックス㈱は、医療機器を中心とする板金部品製造を手がける「製造部門」と、自社ブランド製品である福祉機器の開発・設計・製造を手がける「テクノセンター」の2部門で事業を展開している。2020年3月期の売上高は約16億円。売上構成は、「製造部門」が約55%、「テクノセンター」が45%となっている。

「製造部門」は、医療機器・送変電機器に関連した板金部品の製造を手がけている。それぞれの比率は売上ベースで、医療機器が約65%、送変電機器が約35%となっている。

医療機器は、大手医療機器メーカーの主力サプライヤーとして、医用画像診断装置(X線診断装置・CT・MRI)や検体検査装置のカバーや機構部品の板金加工と、一部サブアッシーを手がけている。ISO9001、医療機器製造業許可、RoHS指令など、認証・レギュレーションへの対応も万全だ。

送変電機器は、大手電機メーカー向けに、開閉装置・変圧器などに使用する板金・製缶部品を供給している。

「テクノセンター」は、主に自社ブランド製品である椅子式階段昇降機「タスカル」シリーズ、段差解消機「タスカルりふと」シリーズといった福祉機器の開発・設計・製造を行っている。同社は1995年に研究開発部門「テクノセンター」を発足し、1996年に初代「タスカル」を発表。現在は「屋内直線タイプ」「屋外直線タイプ」「屋内・屋外曲線タイプ」とラインアップを充実させ、販売代理店・貸与事業者のネットワークを拡充して販売を強化している。

近年は、これら階段昇降機・段差解消機で培った“昇降機”の開発・製造技術を応用し、学校給食などの運搬に使用する小荷物専用昇降機、メーカー向け貨物専用昇降機などの受注生産・メンテナンスも手がけている。

  • 画像:画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー現在のブランク工程の主力、EML-3510NT+AS-48RM+ULS-48RM
  • 画像:画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー曲げ工程ではHDS-1303NT(左端)をはじめ、7台のネットワーク対応型ベンディングマシンが稼働する

不況期も堅調な医療機器 ― CT・検体検査装置が好調

現在の受注環境について八木澤穣社長は「製造部門が手がける医療機器、送変電機器の仕事は安定しています。特に医療機器は大きな変動はなく、ゆるやかに右肩上がりで推移しています」と語っている。

「コロナ禍の影響はほとんどありません。お客さまの製品ラインアップのうち、新型コロナウイルス感染症の診断に役立つCTと検体検査装置は、医療機関向けの補助金の影響もあり、需要が伸びています。当社の場合、CTはもともとの受注量が少ないため大きな変化はありませんが、検体検査装置は例年の2倍程度の受注量となっています」。

「階段昇降機・段差解消機は、“レンタル”は常時350台程度で横ばいですが、販売は少しずつ増えています。年間生産台数は約1,200台。国内市場シェア25%程度を占めていると認識しています。階段昇降機は、本格的な販売を開始した15年ほど前は直線タイプが70%程度を占めていましたが、現在は曲線タイプが過半数を占めています。これは団塊の世代が70歳を超え、階段昇降機を必要とする方々の住宅のつくりが変わってきたためと思われます」(八木澤社長)。

  • 画像:画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー階段昇降機(シート・駆動部)の組立工程
  • 画像:画像診断装置・検体検査装置の主力サプライヤー階段昇降機「タスカル」シリーズ

平均ロット5個以下 ― 典型的な多品種少量生産

医療機器の受注アイテム数は月3,500アイテム前後。平均ロットサイズは5個前後で、単品も多く、典型的な多品種少量生産となっている。

画像診断装置の外装カバーは樹脂製品が多いが、部分的に板金製品も用いられる。検体検査装置の外装カバーは板金製品が標準的で、複雑形状・R形状も多い。

使用材料はSECCなどの表面処理鋼板が多く、鉄系材料が約60%、アルミが約30%、ステンレスが約10%。カバーは板厚2.0㎜以下、機構部品は板厚0.8~1.6㎜が中心。一部、9㎜程度までの中厚板を使用することもあり、板厚6㎜までは社内で加工している。

受注情報はEDI、技術情報は紙図面で受け取り、複雑形状やアッシーの製品はSTEPデータを支給してもらって、3次元ソリッド板金CAD SheetWorksでバラシ・展開を行う。90%以上がリピート品だが、数量が毎回変わるため、歩留りを高めるため4´×8´の定尺材に都度ネスティングを行っている。

通常納期は、板金・溶接までの製品で約2週間。塗装・めっきなどの表面処理、サブアッシーまで含む製品は1カ月程度となっている。

会社情報

会社名
シンテックス 株式会社
代表取締役
八木澤 穣
住所
栃木県さくら市喜連川1114
電話
028-686-3311
設立
1971年
従業員数
99名
事業内容
医療機器・送変電機器の精密板金加工/福祉機器の開発・製造・販売
URL
http://www.syntex.co.jp/

つづきは本誌2020年9月号でご購読下さい。

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