板金論壇

“適者生存” ― 板金需要の収縮に柔軟に対応する

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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懸念される感染第2波

今回行った「新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急アンケート調査」は、28.8%という高い回答率となりました。それだけ企業経営者の関心の高さと、先が読めない不安の表れを感じました。

80%を超える企業が、感染拡大の影響で4-6月期の売上が減少すると回答しており、その多くが20~30%の落ち込みを見込んでいました。国内における感染拡大の収束に関しては「2020年9月以降」という回答が合わせて3/4以上、2021年4月以降という回答も20%弱を占め、全体として早期の収束には否定的でした。

専門家も指摘していますが、今回の感染拡大が一時的に収束しても、感染の第2波が襲ってきて、現在のような状況を繰り返すことが危惧されます。

100年前には「スペイン風邪」が猛威を振るいました。日本では、第1波の1年後に第2波が襲いかかり、患者総数は2,300万人、亡くなった方は38万人にのぼりました。今回も同様のことが起きるリスクは否定できません。そうなると、たとえば今後1~2年は、ワクチン接種を受けた人や抗体検査で陽性になった人から順次活動を再開するようなことになり、必然的に人との接触機会が限定される状況が長く続くことになりかねません。2021年7月に延期された東京五輪も中止、または開催返上となる可能性を想定しておく必要があります。

板金需要は30%程度の減少を想定

言うまでもなく、経済、社会生活への影響は深刻です。底堅い需要が見込まれていた板金業界も、需要が大きく収縮することを視野に入れておかなければなりません。

編集部では感染拡大が国内経済や板金業界に与える影響について分析していますが、それも感染収束の時期によって大きく変化することになります。私自身はこうした分析結果に基づき、収束が1年後までずれ込んだり、第2波が襲ってきたりするシナリオも考慮すると、板金需要が30%程度減少することを想定しています。

国内の板金総需要は2018年に3兆円程度を見込み、2020年、2021年には4兆円程度まで拡大すると想定していましたが、これが2兆円程度にまで減るイメージで、かなりきびしい状況です。2万5,000社程度はあるとされる板金業界も、倒産、休・廃業する企業が増える可能性は高いと思います。

つづきは本誌2020年6月号でご購読下さい。

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