特集

5Gをめぐる市場動向と将来展望(その2)

DXを加速するNECの5G無線アクセス技術

5G基地局技術のトレンドは「オープン化」と「仮想化」

日本電気 株式会社(NEC)

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画像:DXを加速するNECの5G無線アクセス技術①NECが「CEATEC 2019」に参考出展した5G無線子局(RU)付きスマート街路灯/②NECの無線子局(RU)。ミリ波(28GHz)対応RU(左)と3.7GHz/4.5GHz対応RU(右)

高度な無線技術と“共創”によりデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速

日本電気㈱(以下、NEC)は、第5世代移動通信システム(5G)の商用サービス開始を見据え、長年にわたり培ってきた高度な無線技術やネットワーク技術を生かして基地局装置の開発・提供を進めている。また、さまざまな業種・企業と連携しながら、5Gネットワークを生かした新たなサービスの“共創”へ向けた実証実験に取り組み、5G市場の立ち上がりを牽引するとともに、社会全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していこうとしている。

5G基地局については、2019年7月からNTTドコモへ向け、無線子局(RU)の出荷を開始。さらに、2019年6月には、新規参入した楽天モバイルの5G基地局ベンダーに選定され、RUの共同開発を進めている。

NECの強みは、5Gをはじめとするネットワーク領域の中核技術(モバイル・光IP・運用管理・IT)だ。それを組織横断的な連携により、AI・セキュリティー・生体認証といった高度なデジタル技術や業種ノウハウと組み合わせることで、テレコム市場(通信事業者向け)だけでなく、エンタープライズ市場(企業向け)やパブリック市場(官公庁向け)へと展開。すでに、建設機械の遠隔操作、救急搬送の高度化、スポーツ観戦AR(拡張現実)などの実証実験に参加している。

ローカル5Gについても、産業のDX実現へ向けて多数の企業と共創活動・実証実験を推進中。今年2月には、玉川事業所内にユーザーとの共創施設「ローカル5Gラボ」を開設した。

2018年10月にはサムスン電子との協業に合意。日本国内で先行する導入実績をもとに、サムスン電子などとのパートナー連携による製品ポートフォリオの拡充や、これまでに構築してきたネットワークの仮想化技術などを生かして、グローバル市場への事業拡大を目指している。

  • 画像:DXを加速するNECの5G無線アクセス技術国内5G基地局市場の予測推移
  • 画像:DXを加速するNECの5G無線アクセス技術ネットワークサービス市場(ローカル5G含む)の予測推移

5G市場は2021年度から急拡大

NECは、国内のモバイル通信事業者(キャリア)向け5G基地局市場(工事や付帯設備は含まない)が2021年度から急速に拡大し、2025年度に約2,500億円規模に成長すると予測している。また、ローカル5Gに関連するところでは、エンタープライズ・パブリック向けの産業用ネットワークサービス市場(ローカル5Gを含む)が、2025年に2019年比で2倍以上の約2.5兆円規模に成長すると予測している。

新事業推進本部の新井智也部長は「キャリア向けの5Gネットワークの本格的な普及が始まるのは2021年度以降になると思います。普及のスピードは、お客さまニーズと国の政策にも左右されます。4G/LTEはスマートフォンの普及に後押しされましたが、5Gもユーザーにとって魅力的な端末、料金プラン、コンテンツを提供できるかどうかが大きな要素になるでしょう」と語っている。

5G基地局の市場については、「日本の5Gネットワークは、『サブシックス』と呼ばれる3.7GHz帯/4.5GHz帯と、『ミリ波』と呼ばれる28GHz帯が使われます。このうち、5Gの特長である高速・大容量通信を実現する『ミリ波』は、直進性が高く遮蔽物を回り込みにくいことから、4G/LTEのときよりも多くの基地局を設置することになると思います。もし全国のすみずみまで5Gネットワークをミリ波でカバーするとなると、相当な時間がかかるでしょう」。

「キャリアの年間設備投資額はほぼ横ばいで、おおよそ決まっています。5Gへ向けた設備投資が本格化するからといって、キャリアの投資額が一気に増えるというものではありません。投資額全体の中で、5Gに関連した設備投資の割合が高まっていくようなイメージです」としている。

画像:DXを加速するNECの5G無線アクセス技術ローカル5Gの利用イメージ

会社情報

会社名
日本電気 株式会社(NEC)
代表取締役 執行役員社長 兼 CEO
新野 隆
代表取締役 執行役員副社長 兼 CFO
森田 隆之
住所
東京都港区芝5-7-1(本社)
創立
1899年
従業員数
11万595名(連結)
事業内容
パブリック事業、エンタープライズ事業、ネットワークサービス事業、システムプラットフォーム事業、グローバル事業
URL
https://jpn.nec.com/

つづきは本誌2020年4月号でご購読下さい。

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