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薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す

「町工場から組織へ」をテーマに改革を推進

株式会社 新和

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画像:薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す曲げ工程には2019年8月に導入した自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATC(手前)をはじめ、3m対応のベンディングマシンを5台そろえている

後継者不在 ― 鋼材流通会社がM&Aで取得

画像:薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す左から髙園克也工場長、遠藤重裕社長、古賀義康業務部長

㈱新和は、建築金物や鋼製家具・什器の板金部品加工を得意とする板金加工企業。約70社の得意先があり、大手オフィス家具・建築金物メーカー、電路支持材メーカーとの取引が売上全体の50%程度を占めている。

新和の創業者には後継者がおらず、一時期は事業継続が危ぶまれた。しかし、2016年9月、薄板コイルセンター事業と厚板溶断・製缶事業を手がける鋼材流通会社・和信産業㈱がM&Aにより完全子会社化。2017年4月には和信産業の常務取締役を兼務するかたちで遠藤重裕社長が就任し、和信産業の薄板コイルセンター事業と、新和の板金加工事業のシナジー創出を目指し、経営改革を推し進めている。

遠藤社長は、和信産業が新和をM&Aで取得する経緯について、次のように語っている。

「もともと和信産業は、板金企業のM&Aを積極的に考えていたわけではありません。以前から取引銀行やM&A仲介会社からM&Aの提案を受けることはありましたが、鋳造工場やめっき工場では和信産業グループとしてのシナジーを創出するのは難しかった」。

「2016年4月、M&A仲介会社から新和のM&Aを提案されました。板金加工企業であれば、薄板コイルセンター事業を手がける和信産業から材料を仕入れて加工まで行うことで、グループの事業領域を川下へ拡大し、付加価値を生み出すことができる ― お互いにメリットがあると考えました。社名が似通っていることもあって、とんとん拍子に話が進んでいき、M&Aが成立して私が社長に就任したときは、創業者も安心した様子でした」(遠藤社長)。

  • 画像:薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す2018年9月にフルオプションで導入したLC-2515C1AJ
  • 画像:薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す600×2,500㎜の特殊パレット。LC-C1AJの製品棚(ULS)のパレット上に2枚並べ、TKが加工済みのブランク材を集積する

「町工場から組織へ」をテーマに改革を推進

2017年4月に遠藤社長が就任して以降は、「町工場から組織へ」をテーマに組織改革に取り組んできた。

就任翌月の2017年5月には生産管理システムWILLを導入し、紙ベースの帳票処理をデジタル化。業務の効率化をはかり、受注から出荷までのトータルリードタイム短縮を目指した。2018年3月には板金加工ネットワークシステムASIS100PCLサーバーと板金エンジニアリングシステムVPSS 3iを導入し、事務所・工場のネットワーク化と加工情報の一元管理に取り組んだ。

情報系のインフラ整備を段階的に進めるのと並行して、2018年4月には「2018年度工場運営方針」を打ち出し、「ものづくり補助金」を活用することで設備投資を加速させていく。2018年9月にはファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJを材料棚・製品棚・TK(テイクアウトローダー)付きのフルオプションで導入。2019年8月には自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCを導入し、生産効率改善と品質安定化、自動化を推し進めていった。

  • 画像:薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す多品目一括金型段取り機能を使ってセッティングした金型レイアウト。このレイアウトで23品目の曲げ加工に対応する
  • 画像:薄板コイルセンターと板金加工のシナジー創出を目指す出荷を待つ建築金物(パーテーション)の支柱

会社情報

会社名
株式会社 新和
代表取締役
遠藤 重裕
住所
千葉県印西市松崎台2-8-2
電話
0476-85-7008
設立
1997年
従業員数
29名
主要製品
建築金物(パーテーション)、建築資材、医療機用金具、鉄道車両金具、その他
URL
https://shinwa282.web.fc2.com/

つづきは本誌2020年3月号でご購読下さい。

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