特集

ファイバーレーザ化が進む台湾板金業界

「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神

精密プレス加工と試作板金加工の総合メーカーとして株式公開

振發實業 股份有限公司(Cheng Fwa Industrial Co.,Ltd.)

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画像:「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神左:2018年に導入されたファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ/右:サーバーラック

精密プレス部品、試作板金部品の総合メーカー

画像:「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神上:蔡宗勳董事長/下:黄建霖副総経理(左)と劉憲鵬製造課長(右)

1964年に設立された振發實業股份有限公司は、コンピュータ・情報通信・ネットワークおよび電子機器向けの精密プレス部品、試作板金部品の総合メーカー。約30年前からコンピュータ関連機器の製造に取り組み、次第に金型を内製化するとともに設計から試作、金型製作、量産加工までに対応。ワンストップサービスによってコストを下げ、品質向上と量産、OEM/ODMに対応して、代行製品設計および顧客との共同開発を行う専門サービスから、多品種少量生産、量産まで幅広く手がけている。

2018年3月から始まった米中貿易摩擦はいっそうきびしさを増している。今年9月にはIMF(国際通貨基金)が、米中貿易摩擦の影響により2020年の世界の国内総生産(GDP)が0.8%押し下げられる可能性があると発表するほど深刻化している。

その影響を黄建霖副総経理に尋ねると「影響は出ています。特に中国・常州工場での生産に一部影響があります。しかし、もともと常州工場で生産する製品は、外資系企業が中国国内向けに出荷する製品に対応していたので、対米輸出の影響はありません。最近も米国企業から中国国内向けの製品を受託加工しており、心配はしていません」と、強気な見方をしている。

  • 画像:「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神レーザマシンLCG-3015+LST-3015G(手前)とパンチングマシンEMK-3510MⅡ(奥)
  • 画像:「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神パンチングマシンの金型は粉塵がつかないようにビニールの覆いを付けた棚で管理してる

“Time to Market”を追求したワンストップ加工

同社は1987年に現在の工場へ移転し、1991年にはレーザマシンを導入、量産のみならず試作板金にも対応するようになった。1995年にアルマイト設備を導入し、多様な要求に対応している。プレス加工ラインにはロボットを導入し、自動化を進めてきた。1999年には2号機目となるレーザマシン、欧州製のパンチングマシンを導入し、試作板金加工部門の設備を増強した。

1997年には製造、据付における国際的な品質マネジメント規格ISO9002を取得。2000年2月には台湾株式市場に上場し、中国・江蘇省常州に新工場を建設した。常州工場はその後、毎年規模を拡大していき、プラスチック射出成形機を増やし、筐体やケースを中国工場内で内製できるようになった。2007年には板金加工に対応するためパンチングマシンなどを導入した。

2008年には自動車産業向けの品質管理システムISO/TS16949や、RoHS指令・WEEE指令・REACH規則などの有害化学物質規制に対応するため、QC080000グリーン製品システム認証(電子部品のためのIEC品質評価システム(IECQ)、電気・電子部品及び製品の有害物質プロセスマネジメントシステム要求事項(HSPM))を、2009年にはISO9001:2008の認証を取得した。

同社の研究開発チームはベテランエンジニアを擁し、顧客の製品研究開発のために最先端のソリューションを提供。新製品の開発コンセプトを現実化・革新化し、プロジェクト管理によって製品開発サイクルを効率化している。

画期的な製品は、シミュレーションシステムで確実に成果を得られることを保証し、短納期の試作品サービスを提供してリードタイムを短縮。最近はIoTを活用して、開発プロセス段階からネットワーク情報を共有する統合型の生産システムを構築。効率的なネットワークプラットフォームに基づくフレキシブルな生産システムによって、“Time to Market”(企画から市場投入までの時間)の企業目標を達成している。

  • 画像:「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神ベンディングマシンHG-8025(手前)とHG-1303(奥)による曲げ加工
  • 画像:「顧客尊重」 ― 人を基本とする企業精神曲げ加工が終わった製品は1点ずつ緩衝材の上に置かれる

会社情報

会社名
振發實業股份有限公司
董事長
蔡宗勳
本社
台湾・新北市三重區新北大道二段252號5樓
工場
台湾・新北市三重區光復路二段25號
電話
+886-2-2995-1439(本社)
設立
1964年
従業員数
320名
主要事業
コンピュータ、通信機器、ネットワークおよび電子機器の精密プレス部品、板金部品製造
URL
http://www.chengfwa.com.tw/

つづきは本誌2019年12月号でご購読下さい。

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