特集

自動金型交換による曲げ工程の合理化

モノの流れの整流化に貢献

曲げ加工の生産性が30%向上

株式会社 内田製作所

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画像:モノの流れの整流化に貢献工作機械と半導体製造装置関連の複雑で時間がかかる製品をHG-1003ATCで加工している

工作機械・半導体・空調機器がメイン

画像:モノの流れの整流化に貢献内田健一郎社長

㈱内田製作所は、1939年に東京都大田区で創業し、今年で80周年。1964年に㈱内田製作所として法人化、1968年に現在地の神奈川県内陸工業団地に厚木工場を開設し、1986年には本社機能も同工業団地に集約した。

現在の得意先は約40社。工作機械関連、半導体製造装置関連、業務用空調機器関連の3社が主力で、この3社で売上の約80%を占める。

工作機械関連は小型立形マシニングセンタの機械カバー、スプラッシュガード、タンクなど。最盛期には1カ月に1機種で20台超の生産に対応、構成部品の総数は数千点にもおよんだ。半導体製造装置は純水加熱装置で1台あたりの板金部品は約80点。この2社のリピート率は70%程度だった。ところが昨年秋以降、米中貿易摩擦の影響で工作機械の受注は30%以上減少、半導体製造装置は半減、全体では前年同期比で20~30%落ち込んでいる。

「半導体製造装置は秋口になれば回復するという話もありましたが、今は、来年度になれば回復の兆しが見えるかも、というトーンに変わってきています。工作機械に関しては、しばらくは回復の兆しが見えないと思います」と内田健一郎社長はきびしい見方をする。

業務用空調機器は物件対応のため一品一様。今のところ建築需要は旺盛なため、ほかの業種に比べて落ち込みは少ない。それでも先々を考えて今は新規の得意先開拓に力を入れているが、「当社のみならず業界全体が冷え込んでいるので新規開拓は難しい」という。

同社で受注するアイテム数は3,000~4,000点、加工する材料は工作機械と半導体製造装置関連はSPCC、業務用空調機器はSGCCがメインでステンレスやアルミなどの非鉄材料は少ない。板厚は0.5~6㎜が中心で、2.0㎜以下が80%を占める。

工作機械、半導体製造装置、業務用空調機器いずれも先頭のブランク工程で、オーダー単位で部品をまとめ、板厚ごとにファミリーネスティングを行っている。

「最初にまとめるのは手間ですが、一度まとめてしまえば最後の組立などが楽です。ただ、材料歩留りが悪くなる傾向があるので、そこをどう判断していくかが課題です」(内田社長)。

画像:モノの流れの整流化に貢献左:VPSS 3i Bendでベンディングマシン5台分の曲げ加工データを作成(左)。右は生産管理システムAPC21の現場端末/中央:HG-ATCのNC端末AMNC 3iは直感的な操作が可能/右:角度センサーBi-Sで加工精度が安定

ブランクの強化で曲げがボトルネックに

同社が自動金型交換装置付きベンディングマシンHG-1003ATCを導入したのは2017年9月。ブランク工程を強化しようと2015年10月にパンチ・レーザ複合マシンACIES-2515T+AS-2512NTK+ULS-2512NTKを導入したところ、次工程の曲げ工程で作業が滞留してしまうようになった。

製造部の曲げ加工グループの責任者である松田耕二係長は「曲げ工程がボトルネックといわれ、抜き上がってくるブランク材がオーダー単位で台車に乗せられたまま曲げ加工エリアに滞留、曲げの作業者は毎日残業でした」と当時を振り返る。

ちょうどベンディングマシンの更新を検討している時期でもあり、曲げ工程全体の生産性改善を目指してHG-ATCを導入することになった。

画像:モノの流れの整流化に貢献左:ACIES-2515Tの導入でブランク工程の生産能力が向上。曲げ工程の負荷が増した/右:溶接作業

会社情報

会社名
株式会社 内田製作所
代表取締役
内田 健一郎
住所
神奈川県厚木市上依知3021
電話
046-285-1121
設立
1964年
従業員数
40名
事業内容
精密板金の製造・組立(工作機械、空調機器、映像関連機器、半導体・FPD製造関連機器、測定・分析機器など)
URL
http://www.uchida-ss.co.jp/

つづきは本誌2019年11月号でご購読下さい。

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