特集

曲げ加工のプロセスイノベーション

金属総合加工メーカーとして年商305億円

多工程連続曲げに新戦力 ― ベンディングロボットHG-ARs

株式会社 興和工業所

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画像:金属総合加工メーカーとして年商305億円2018年2月に導入したベンディングロボットシステムHG-1003ARsによる曲げ加工

金属総合加工メーカーに発展

画像:金属総合加工メーカーとして年商305億円青山友之小牧工場次長(左)と角谷豪紀小牧工場開発技術課長(右

㈱興和工業所は1947年の創業以来、溶融亜鉛めっきの金属加工では国内トップシェアを誇り、モノづくりの全工程をワンストップで担う技術力・設備力を備えてきた。得意先からの要望には決して「ノー」とは言わずに対応し、関連会社と連携して配送まで一貫して行うことで迅速な納期対応とコスト低減を実現。「興和に頼めば、全部やってくれる」という評価を得、金属総合加工メーカーとして多くの得意先から揺るぎない信頼を獲得している。

2018年3月期の売上高は305億円、従業員総数は1,012名。米国・中国・タイにも工場を持ち、事業範囲はグローバルに広がっている。

板金加工に関しては55年ほど前、小牧市内にあった金属プレス加工企業を吸収。石油ストーブ、ハリケーンランプ、物置などの筐体製作を始めた。1970年代にアマダのパンチングマシンCOMAにL/UL(ローディング・アンローディング)装置を取り付けた自動化ラインを導入。1983年には発表されて間もないレーザマシンLC-644を愛知県内で2番目に導入するなど、有力な板金工場へと発展した。

主な加工製品は駅務関連の自動改札機、通信機器、アミューズメントマシンなどの筐体、工作機械カバーなどで、設計から加工、塗装までワンストップで対応している。

  • 画像:金属総合加工メーカーとして年商305億円HG-1003ARsは加工途中でも金型を自動交換し、工程数の多い複雑な曲げにも対応する
  • 画像:金属総合加工メーカーとして年商305億円材料の板厚のバラツキを補正するため、角度センサーBi-Sが1工程ごとに曲げ角度を測定する

曲げ工程がボトルネック

得意先は約40社、季節変動により短期間で入れ替わることが多いという。昨年までは東京五輪需要を先取りした鉄道各社の駅務関連の仕事が集中していたが、現在はアミューズメント関連の仕事を大量に受注し、瞬間的には売上の50%を占めている。

LC-644が導入された頃に入社した小牧工場・青山友之次長は、板金加工の現状と課題を次のように語っている。

「当社が得意とするのは中種中量生産で、現在もロット400台の仕事が流れています。過去にはロット1,500台の移動体通信基地局の筐体関連を手がけました。小さいロットでも20~30個くらい。受注は製品単位なので、開発設計課を中心に工法転換の設計提案を積極的に行い、プレス加工やアルミダイキャストからの機械加工を板金加工に置換する提案営業を積極的に展開しています」。

「現在の受注量の約半分を占めるアミューズメント関連は季節商品のため、繁忙期は2月いっぱい。機種数・ロットとも多く、1機種で板金子部品が70点くらいになるものもあり、まとめ生産が大変です。ブランク工程は24時間稼働。2台ある複合マシンは仕様上はジョイントレス加工が可能ですが、スケルトンから切り離した製品を吸着して機外へ搬出できないことがあります。そのため、すべてミクロジョイント加工を行い、加工後にバラシ作業を行って、機種単位でパレットに積載、次工程へ送り出しています」。

「曲げ工程は2交代体制。当社は工程単位で分業化し、単能工を育てる方針だったので、曲げ工程の新人がなかなか育たず、曲げ作業者の平均年齢が52歳と高齢化が目立ってきていました」。

「また、アミューズメントマシンの筐体やカバーは形状が複雑で、もっと楽にできる方法はないかと以前から検討してきました。それとともに、ベテランのノウハウを社有化し、経験の浅い社員を育成する手立てを考えてきました。そこで、デジタル化・外段取り化による省熟化と段取り改善を目指し、2003年にアマダのASISネットワークシステムを導入。事務所で作成した加工データを活用してネットワーク対応型ベンディングマシンが加工する“外段取り化”に着手しました」。

「Dr.ABE_Bendのプラン成功率は60%程度ですが、現場では製品の3次元画像を見ながら段取りできるようになり、重宝しています。作業者によっては自己流の段取りがあるので、必ずしも作成されたデータどおりに加工しているわけではありませんが、内段取り時間は大きく減り、曲げの稼働率が改善、曲げ不良率も激減しました。しかし、工数不足を解消するには至らず、曲げ作業の自動化が大きな課題となっていきました」。

画像:金属総合加工メーカーとして年商305億円16工程曲げを行うアミューズメント機器向け製品のブランク材(左)と曲げ加工後の製品(右)

会社情報

会社名
株式会社 興和工業所
代表取締役
六車 壽夫
本社
愛知県名古屋市瑞穂区二野町2-28
小牧工場
愛知県小牧市大字東田中字下五反田1081
電話
0568-77-3277(小牧工場)
設立
1947年
従業員数
1,012名(うち小牧工場・板金部門は90名)
事業内容
溶融亜鉛めっきを中心とする表面処理・金属加工
URL
http://www.at-kowa.co.jp/

つづきは本誌2019年2月号でご購読下さい。

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