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世界につながるモノづくり ― Connected Industries

「JIMTOF 2018」開催

「未来の工場」のかたちがより明確に

制御技術や自動化・ロボット化で差別化と付加価値創出を目指す

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画像:「未来の工場」のかたちがより明確に

世界の4大工作機械見本市のひとつ「第29回日本国際工作機械見本市」(JIMTOF 2018)が、11月1日から6日までの6日間、東京ビッグサイトで開催された。

出展者数は前回(2016年)から116社増加し、過去最多の1,085社となった。会期中の来場登録者数は、雨天の日があったにもかかわらず、前回比3.7%増の15万3,103人となり、15万人の大台を超えた。また、海外からの来場登録者数が前回比10.9%増の1万2,791人となり、これまで以上に国際色が強い展示会となった。

“協調領域”の最大化を目指す

画像:「未来の工場」のかたちがより明確に企画展示では、東京ビッグサイトを巨大なスマートファクトリーに見立て、72社・300台あまりの出展機の稼働状況を“見える化”した

今回のJIMTOFのキーワードは「つなぐ」。企画展示では、東京ビッグサイトを巨大なスマートファクトリーに見立て、IoTプラットフォームを活用して72社・300台あまりの出展機を接続し、稼働状況の“見える化”を実現した。

初日に開催された「オープニングディスカッション」では、「つなぐ」をテーマに、“協調領域”(つなぐ)の最大化と“競争領域”(生産性向上・付加価値向上)への集中化について議論が交わされた。

川昭政経済産業大臣政務官は「コネクテッドインダストリーズを推進するにあたり、“協調領域”をいかに広げるか ― “オープン化”が重要なカギになる」と、データ流通のバリアフリー化とオールジャパンでの連携を呼びかけた。

日本工作機械工業会飯村幸生会長(東芝機械㈱・取締役会長)は「つなぐ段階でうろうろしている時間はない。“協調領域”を最大化して、“競争領域”に集中する。重複的な多重投資を最小化して、戦うべきフィールドにリソースを集中させることが市場の競争を誘起する」とうったえた。

同工業会の稲葉善治技術委員長(ファナック㈱・代表取締役会長兼CEO)は「つなぐことは目的ではなく、すでにできていることだと企画展示で示したかった。つないだ後に、どう差別化していくか。工業会として、中小企業を含むすべての製造業がコネクテッドインダストリーズのメリットを享受できるしくみづくりを推進したい」と強調した。

  • 画像:「未来の工場」のかたちがより明確にDMG森精機は、同社が提案するIoTプラットフォーム「ADAMOS」を中心としたコネクテッドインダストリーズのかたちを大型パネルやプレゼンテーションで紹介
  • 画像:「未来の工場」のかたちがより明確にヤマザキマザックは、日々生まれるソリューションをIoTを活用して効率的にユーザーに提案する総合サービス「Mazak iCONNECT」を紹介。2019年4月より提供を開始する
  • 画像:「未来の工場」のかたちがより明確に牧野フライス製作所は、ファナックと共同開発した協働ロボット搭載AGV「iAssist」の実演を行った。今後はマシンの操作や切り屑の処理などを自律的に行えるようにする考え
  • 画像:「未来の工場」のかたちがより明確にオークマは、作業者の負担を軽減する旋盤内蔵型ロボットシステム「ARMROID」を出展。中小企業への導入も想定している

ファイバーレーザマシンは制御技術や自動化で差別化をはかる

板金加工分野では、ファイバーレーザマシンをはじめとする固体レーザ加工機の出展が中心となった。出展機の出力は6~9kWに集中し、ビーム制御技術や自動化・ロボット化、IoT技術の活用などによって差別化と付加価値創出を目指す傾向が目立った。三菱電機とヤマザキマザックは、レーザ加工機と自動仕分けシステムを組み合わせた自動化ソリューションを初出展。総合メーカーであるアマダホールディングスとトルンプは、加工機と併せて工場全体のモノづくりプロセスの“見える化”を実現するIoTソリューションを提案し、注目を集めた。

アマダホールディングスは、9kWファイバーレーザ発振器を搭載したファイバーレーザマシン「ENSIS-3015AJ」(9kW)を出展した。レーザビームを最適な形状に自在にコントロールできる独自のビームコントロール技術「ENSISテクノロジー」に、新たに「オートコリメーション機構」を搭載。レーザビームの集光径の可変領域が大幅に拡大し、薄板から厚板まですべての領域で安定加工ができるようになった。とくに厚板領域では、高速安定加工の実現やドロス低減、ベベル角低減、面粗度の向上といった効果が得られ、軟鋼・板厚25㎜のピアス加工を1秒で完了させることができるとPRした。

また、板金機械・研削盤を含む出展機の稼働状況や製造現場の課題を“見える化”するアマダのIoT「V-factory」と、板金加工の変種変量生産に対応する製造支援システム「vLot Manager」も紹介した。

トルンプは、ディスクYAGレーザマシン「TruLaser 3030」(6kW)を出展した。2017年7月に開催されたMF-Tokyoでも出展していた窒素ガス消費量を70%以上削減できる「ハイスピードエコ」の機能を搭載。ハイスピードエコの対象は軟鋼で板厚4~10㎜、ステンレスで板厚4~25㎜。また、今回はφ370㎜まで対応するパイプ加工用のチャッキング装置を備え、長尺のパイプを加工する場合に外付けする支持装置も展示した。ただし、「パイプのセンターを検出して補正するシステムのため、センターを検出できない形鋼を加工する場合は精度が見込めない」としていた。

併せて、他社の加工機まで含め、クラウドデータベースに接続して“見える化”をはかるソフトウエア「板金ダッシュボード」を出展。また、今後はAIとの会話によって加工プログラム・見積り・工程管理を半自動で行うアシストシステムを構築する構想も紹介した。

  • 画像:「未来の工場」のかたちがより明確にアマダホールディングスは、ファイバーレーザマシン「ENSIS-3015AJ」(9kW)を出展した
  • 画像:「未来の工場」のかたちがより明確に出展機の稼働状況や製造現場の課題を“見える化”するアマダのIoT「V-factory」を紹介した

つづきは本誌2018年12月号でご購読下さい。

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