特集

サニタリー設計に対応する食品機械の板金加工

「FOOMA JAPAN 2018」開催

3年連続5,000億円超え、過熱気味の食品機械業界

トレンドは引き続き「食の安全・安心」「自動化・ロボット化」「IoT対応」

LINEで送る
Pocket

画像:3年連続5,000億円超え、過熱気味の食品機械業界活況だった「FOOMA JAPAN 2018」の会場。4日間の来場者数は2年連続で10万人を超えた

「FOOMA JAPAN 2018」開催

アジア最大級の「食の技術」の総合トレードショー「FOOMA JAPAN 2018」(2018国際食品工業展)が6月12日から15日までの4日間、東京ビッグサイトで開催された。「食の未来は無限大」のキャッチフレーズのもと、新たな領域を切りひらく最先端の技術・製品・サービスが多数展示された。

主催は一般社団法人日本食品機械工業会(以下、日食工)。日食工は、前身にあたる「全国食糧機械製造業者懇談会」が1948年に発足してから今年で70周年をむかえ、会場内に「創立70周年記念コーナー」を設置して、70年のあゆみをパネルで紹介した。

出展者数は過去最多の798社(前回比9社増)、来場者総数は10万210人(前回比0.2%減)となった。前回は東京ビッグサイトに新設された東7~8ホールがくわわったことで会場面積が約1.3倍に拡大、出展者数が103社増え、来場者数は10万人の大台を超えた。今回も引き続き好調な食品機械業界の状況を反映し、来場者数は微減したものの2年連続で10万人超えとなった。

画像:3年連続5,000億円超え、過熱気味の食品機械業界左:関東混合機工業は、AGVを2台使用した自動化システムを出展。工程間で、AGVがミキサーボウルを自動搬送する/右:髙橋工業は、チルドジェットフリーザー(全長3m程度)+差圧冷却庫+ロボットのコンパクトな自動化ラインを提案

過熱気味の食品機械市場

日食工によると、食品機械の国内販売額は2011年以降右肩上がりで推移している。2017年は前年比10.5%増の5,762億円で、3年連続で5,000億円超えとなった。2018年に入っても好況感は薄れず、今回のFOOMAでも出展者のほとんどから「足もとの業績は絶好調」との明るい声が聞かれた。

飲食関連産業・飲食料品流通の多様化を反映し、食品機械の好調要因もさまざま。なかでも活発なのは昨年と同様、コンビニエンスストアの市場規模拡大と競争激化、店舗数増加と再編などにともなうコンビニベンダーの設備投資だ。また、訪日外国人の旅行消費額(インバウンド需要)が過去最多となるなかで、菓子などの土産物を中心とした食品工場の設備投資も活発だった。人手不足が深刻化するなか、店内調理の負荷低減を実現する大型セントラルキッチンの立ち上げや既存工場の自動化投資も引き続き好調だ。

最近の動きとしては、ドラッグストアの飲食料品販売額が急速に伸びていることから、流通食品・流通菓子・生鮮食品の生産ラインの需要も増加。その一方で、食品・飲料の“プレミアム化”に対応する新商品の生産ライン立ち上げも増えている。低調なのは、数年前に市町村合併で一時的に特需となり、現在は落ち込んでいる大型給食センター向けくらいで、そのほかは全体的に好調を維持している。

会場では「いま注文をいただいても、年度内に納入できるかわからない」(包装機器メーカー)、「納品まで26カ月待ち」(業務用オーブンメーカー)といった声も聞かれ、市場は過熱気味ともいえる。なかには「サプライヤーが足りず、さがしている。既存のサプライヤーも、人手不足と働き方改革の影響で、これまでは対応してもらえた仕事を断られてしまう」(包装機器メーカー)とSCMに苦慮するコメントも聞かれた。

出展された食品機械のトレンドとしては、深刻化する人手不足に対応する「自動化・ロボット化」、たび重なる集団食中毒事件や異物混入事件を受けての「食の安全・安心」「サニタリー(衛生)設計」、トレーサビリティー確保や機械の稼働監視・遠隔保守・予防保全などをサポートする「IoT対応」への取り組みが引き続き目立っていた。

  • 画像:3年連続5,000億円超え、過熱気味の食品機械業界ニチワ電機は、HACCPコンサルティングのサービスをPR。専門部署によるコンサルタント実績を紹介していた
  • 画像:3年連続5,000億円超え、過熱気味の食品機械業界イシダは、AIを活用してX線検査装置の検査精度を高めるソリューション(開発中)のイメージを紹介し注目を集めた

つづきは本誌2018年8月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集記事一覧はこちらから