特集2

第30回優秀板金製品技能フェア 優秀製品紹介(その1)

板金でウォームギアができる

2度目の経済産業大臣賞を受賞

シンエイメタルテック 株式会社

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画像:板金でウォームギアができる経済産業大臣賞を受賞した「ウォームギア」(SUS304・板厚1.0~5.0㎜、W430×D464×H200㎜)

経済産業大臣賞を受賞した「ウォームギア」

画像:板金でウォームギアができる左から田原和幸社長、香月裕光サブリーダー、石橋寿光さん、東信貴さん、松尾真司工場長

職業訓練法人アマダスクールが主催する「第30回優秀板金製品技能フェア」(以下、板金フェア)で、シンエイメタルテック㈱が「組立品の部」に応募した「ウォームギア」が経済産業大臣賞を受賞した。同社が経済産業大臣賞を受賞したのは、第27回(2014年度)以来2度目となる。

表彰式で、田原和幸社長は「当社は1967年に創業して、去年、創業50周年を迎えました。そこで昨年9月1日、当社の46名の社員が参加して、アマダ・富士宮事業所の見学も兼ね、FORUM246で創業50周年記念の祝賀会を開催させてもらいました」。

「その際に社員から『今回の板金フェアは参加しなくてもいいですか?』と尋ねられました。今回出品した『ウォームギア』は、積層金型を何度もつくり直すなど、製作に時間が取られ大変だったため、今回の応募は見送ることも考えていました。しかし、今回は当社の創業50周年、板金フェアも節目の第30回―『やはりなんとかして出そう』と気持ちを入れ替え、応募することに決めました」。

「『ウォームギア』とは、円柱に螺旋状に歯を切った『ウォーム』(ねじ歯車)と、ウォームに合わせて円盤の側面に円弧状の歯を切った『ウォームホイール』(はす歯歯車)を組み合わせた構造体です。調べてみると、非常にややこしい内容だということがわかります。特にウォームとウォームホイールのバランスを取るのが難しい。製作した担当者によると、噛み合わせをスムーズにするために角度・幅・高さを合わせ、バランスを取るのが大変だったようです」。

「構想段階で描いた図面も、少しずつ直しながらつくっていきました。製作段階でも、積層型をいくつもつくり、溶接し、合わせていきました。組み合わさるウォームは角度がついていて螺旋状に歯が切られ、非常に複雑な形状をしています。歯を忠実に再現して均等・均一につくらないとスムーズに噛み合いません。何度も挑戦して、ようやくうまい具合にまわってくれるようになったので応募したら、今回の受賞につながりました。手前味噌になりますが、当社の社員は本当にすばらしいと思います」と語っている。

  • 画像:板金でウォームギアができる螺旋状に溶接したウォームを円柱に溶接していく作業
  • 画像:板金でウォームギアができるウォームの歯の高さ・幅・ピッチ寸法が少しでも合わないと回転しなくなる

自分たちの技術を“価値”として表現する

板金フェアの表彰式で、来賓の経済産業省製造産業局素形材産業室・岡本繁樹室長は「『スマイルカーブ』というものがあるが、モノづくりのサプライチェーンの中流―加工・製造のところは付加価値が低い。当局では、そこから上流なり下流なりへ出ていき、自分たちの技術を“価値”という観点で表現し直すことで、新たなユーザーを獲得できないか、そのためにはどうしたらいいか―と検討している。その観点からも、『金属の板からこんな作品ができる』ということを見せる取り組みは、自分たちの技術を“価値”として表現する最たるものではないかと思う」と述べた。「ウォームギア」は金属加工の常識を覆し、「金物でこんな製品ができる」という新たな価値を創造・提案する作品であり、経済産業大臣賞に最も相応しい作品といえる。

画像:板金でウォームギアができる左:円盤にすべての歯の接合が終わり、ウォームホイールとして歯の高さやピッチ寸法、角度を確認する作業/右:ウォームホイールの円盤に取り付けられた歯の高さ・幅・ピッチ寸法を確認して作成した

会社情報

会社名
シンエイメタルテック 株式会社
代表取締役
田原 和幸
住所
佐賀県神埼市千代田町崎村551
電話
0952-44-2150
設立
1971年
従業員数
50名
事業内容
半導体製造装置関連の板金および製缶、生産設備関連の一般産業用機械装置の板金および製缶、レーザ加工部品
URL
http://www.shinei-metaltec.co.jp/

つづきは本誌2018年5月号でご購読下さい。

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