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曲げの自動化が進む台湾板金業界

緩やかに回復する台湾経済

電子部品産業が牽引するも、力強さに欠ける

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画像:緩やかに回復する台湾経済台湾の対中直接投資(許可ベース)と対外直接投資に占める対中投資の構成比の推移

若者の支持を得て発足した蔡政権

台湾の総人口は約2,355万人(2017年7月現在)、面積は九州よりやや小さい3万6,000㎢。

2016年1月の総統選挙で民主進歩党(民進党)の蔡英文氏が、中国国民党の朱立倫氏や親民党の宋楚瑜氏を退けて当選した。台湾では、中国との関係強化に取り組んだ中国国民党政権の8年間(2008〜2016年)で中国への依存が強まった一方、経済的な格差が拡大。特に若い世代の失業率が上昇したことなどから、若者を中心に前政権に対する不信感が強まった。

こうした中で、民進党の蔡英文候補は格差是正に取り組み、若者の給与水準の引き上げ、低所得者向け住宅の整備、バイオ・自然エネルギー関連の産業振興で新たな雇用を創出することなどを掲げて選挙に臨んだ。その結果、蔡候補は若者を中心に支持を広げ、当選した。また、同日行われた中華民国立法委員選挙でも民進党が躍進、全113議席中68議席を獲得し、はじめて単独過半数を確保した。

2016年5月の総統就任式において、蔡総統は公約実現を目指し、内政上の諸課題として年金・教育・エネルギー・資源・人口構造・環境汚染・財政・司法・食品安全・貧富の格差是正などの問題を列挙、若者の低収入や苦境を最重要課題と位置づけた。

また、新政府が取り組むテーマとして①経済構造の転換②社会のセーフティーネットの強化③社会の公正および正義④地域の平和・安定・発展および両岸関係⑤外交およびグローバル課題 ― の5点を提起した。対中政策では「現状維持」を掲げ、対外環境を安定させ、内政に集中するとした。

進まぬ改革、支持率回復へ

しかし、改革は思うようには進まず、若者の失業率は12%台と高止まりしたまま。また、完全週休2日制の原則義務化を定めた労働基準法改正「一例一休」は労使双方から批判された。就任当初に47%あった支持率は、半年後には28%にまで下がるなど低迷した。

こうした中で蔡政権は今年9月に新行政院長(首相)に頼清徳台南市長を起用すると発表した。台南市長を長年務め、台湾独立を目指す民進党のホープの登用により、台湾で生まれ「台湾と中国は別」と考える若者世代にアピール、支持率の低迷を打開して蔡政権の浮揚を狙った。

つづきは本誌2017年11月号でご購読下さい。

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