特集

曲げの自動化が進む台湾板金業界

「COOL SHEET METAL」を目指し曲げ加工の自動化・無人化に挑戦

IoTを活用した生産プロセス改革にも取り組む

迎盛 股份有限公司

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画像:「COOL SHEET METAL」を目指し曲げ加工の自動化・無人化に挑戦左:HG-1003ATCによる曲げ加工/右:HG-1003ARs+HGROBOT-20による曲げ加工

日系板金工場に学ぶ

画像:「COOL SHEET METAL」を目指し曲げ加工の自動化・無人化に挑戦左から順に、張勝富工場長、曽麗芳総経理、連志豪管理部長

迎盛股份有限公司は1989年に創業された。筆者はアマダ台湾の紹介を得て2012年に初めて取材に訪れた。台南市内の工業団地に新工場を竣工した2015年に2度目、今回が3度目の訪問となった。

同社は台湾国内でアマダ製の最新設備を毎年のように導入し、それを若い社員が活用してフル操業。業績も向上し、従業員も増えてきた。

その大きな原動力となったのが、自動化をはじめ、これからの板金工場の姿を日本から学んできたことだ。曽麗芳総経理は、日本への留学経験がある日本語に堪能な長女をともなって、たびたび日本の板金工場を訪問。最新の設備や運用を学んだ。現在では2社の日系板金企業と協業している。

「板金工場の経営や新鋭設備の運用に精通した日系板金工場に学びたい」と曽総経理は意欲を見せる。

今では120名の社員を擁し、そのうち20%が3次元CADを駆使、カスタムメイドの板金設計に対応している。年内には粉体塗装工場と機械加工センターを竣工する。塗装工場には15名、機械加工センターには10名の新規採用者が配され、板金・塗装・機械加工の一貫加工体制を構築。OEM/ODMに対応した完成品の受注にも対応できるようになった。

画像:「COOL SHEET METAL」を目指し曲げ加工の自動化・無人化に挑戦左:設計スタッフが3次元CADで設計するとともに各加工機のCAM作成を行う/右:1階工場の設備の稼働状況を工程管理板(手前の画面)でリアルタイムに確認できる

受注の半分が半導体・FPD製造装置関連

現在、仕事の40~50%が半導体・FPD製造装置関連で、それ以外は工作機械・自動化機器・設備装置関連の板金製品となっている。

「為替の影響を受けやすい台湾製の工作機械は海外市場では日本製に押され、ここ数年は厳しい状況が続きました。その一方で半導体・FPD製造装置は2016年後半から繁忙感が出てきており、前年同期比で10%以上の伸びを示しています。また、半導体・FPD関連のエレクトロニクス産業が好調なため、設備投資が活発になり、自動化周辺装置や設備装置の需要も増加しており、工作機械以外は好調です」。

「半導体・FPD製造装置関連は、今後5年間は順調と判断しています。そのため、装置カバーだけではなく、架台の加工・組立までを一貫受注することを計画してマシニングセンタやNC旋盤などを備えた機械加工センターを開設、ここに装置の組立ラインも設置する計画です。架台の製作では角パイプなどの形鋼の加工が増えると考え、形鋼加工に対応するレーザマシンの導入も考えています」と、曽総経理は積極的な経営姿勢を示す。

  • 画像:「COOL SHEET METAL」を目指し曲げ加工の自動化・無人化に挑戦ファイバーレーザマシンENSIS-3015AJ(2kW)+ASFH-3015G
  • 画像:「COOL SHEET METAL」を目指し曲げ加工の自動化・無人化に挑戦半導体・FPD製造装置は角パイプを使って架台を製作する仕事が増えており、機械加工による仕上げ加工が必要になるため機械加工センターを建設中

会社情報

会社名
迎盛股份有限公司
BLIKSEN Co.,Ltd.
総経理
曽麗芳
住所
台湾・台南市永康区永科環路75號
電話
+886-6-2333568
設立
1989年
従業員数
120名
主要事業
半導体製造装置関連部品・電子機器筐体・工作機械カバー・配電盤筐体・射出成形機カバーの板金設計・加工・組立
URL
http://www.bliksen.com/tw/

つづきは本誌2017年11月号でご購読下さい。

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