Interview

スマート金型を用いたスマート生産システムの実用化へ

岐阜大学「次世代金型技術研究センター」の取り組み

岐阜大学 副学長 工学部機械工学科創造システム工学講座 王志剛 氏

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岐阜大学は、2016年4月にモノづくり技術の総合研究拠点として「次世代金型技術研究センター」を設置した。自動車関連産業の仕事を行う中小製造業者が多い岐阜県の特長を生かし、複合材料や軽量高強度金属などの素形材開発、CAEを活用した金型による高度な加工技術開発、IoTやロボットなどを活用する生産システム開発といった、次世代のモノづくりに関する研究を行う。また、先進的なモノづくりの実践教育カリキュラムを活用した人材育成事業や、地域企業などと連携した技術開発事業を展開する。

さらに、同センターが中核となった「岐阜大学スマート金型開発拠点事業」が、文部科学省の平成28年度補正予算事業「地域科学技術実証拠点整備事業」に採択された。すでに研究棟の建設に着工、2020年度を目標に「スマート金型を用いたスマート生産システム」実用化に向けた取り組みが始まっている。

この拠点事業をリードする岐阜大学副学長兼工学部機械工学科創造システム工学講座の王志剛教授に話を聞いた。

「次世代金型技術研究センター」設立の狙い

画像:スマート金型を用いたスマート生産システムの実用化へ王志剛(わんずがん)氏

―王教授は日本へ来られて30年が経過し、副学長として産官学連携を担当され、「次世代金型技術研究センター」を立ち上げられました。センター設立の狙いを教えてください。

王志剛教授(以下、姓のみ) 岐阜大学は、団塊の世代がいっせいに退職することで技術・技能の伝承が困難になる「2007年問題」が騒がれはじめた2006年に金型技術の高度化・伝承に向けた「金型創成技術研究センター」を設立し、金型分野の研究と実践教育に取り組んできました。2012年には「複合材料研究センター」を設立して、複合材料を地域のモノづくりに活用する事業を行ってきました。

近年は、製造業の技術開発力を強化し、生産性を飛躍的に高めるためには、素形材や加工技術に関する研究開発に加えて、IoTやロボット技術の活用に関する研究開発が欠かせないものとなっています。また大学に対しては、高度人材育成のニーズがますます高まっています。

このような背景から、両センターを基盤として「次世代金型技術研究センター」を設置し、複合材料や軽量高強度金属などの素形材開発、CAEを活用した金型による高度な加工技術開発、IoTやロボットなどを活用する生産システム開発といった次世代のモノづくりに関する研究を行い、先進的なモノづくり実践教育カリキュラムを活用した人材育成事業、地域企業などと連携した技術開発事業を展開することを考えました。

画像:スマート金型を用いたスマート生産システムの実用化へ「次世代金型技術研究センター」の概要

―「次世代金型技術研究センター」の設立までに10年間の実績があったわけですね。

 2006年に「金型創成技術研究センター」を設立してから10年が経過し、国内有数の生産加工技術の拠点に発展させることができました。産学共同研究件数も2012年度から2016年度までに160件を数えました。知財収入は大学全体の50%を超えるまでになりました。

また、戦略的イノベーション創造プログラムなどの国家プロジェクトを4件、戦略的基盤技術高度化支援事業(サポイン)は7件を実施しています。そして、地域の製造業をメンバーとする「次世代金型研究会」を2015年に設立し、会員企業間の技術交流や情報交換、最新金型技術情報の提供を行ってきました。現在、会員企業は45社にまで増えました。

人材育成に関しても金型実践教育カリキュラムを実施、修了生の累計は学部生180名、修士課程生105名となりました。さらに、社会人教育プログラムを実施、修了生の累計は約200名となりました。こうした実績と優位性に基づいて2016年4月に「次世代金型技術研究センター」が発足しました。

  • 画像:スマート金型を用いたスマート生産システムの実用化へ附属加工工場内の教育風景
  • 画像:スマート金型を用いたスマート生産システムの実用化へ2016年度に導入した金属3Dプリンター

つづきは本誌2017年9月号でご購読下さい。

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