板金論壇

IoTが産業・社会を大きく変える/AIは人間の知能を超えられるか

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

LINEで送る
Pocket

「Society 5.0」と「Connected Industries」

ドイツが2011年から国家プロジェクトとして取り組み始めた「Industrie 4.0」に始まり、日本では人類がこれまで歩んできた「狩猟」「農耕」「工業」「情報」に次ぐ第5の新たな社会を技術革新(イノベーション)によって生み出す「Society 5.0」(超スマート社会)や、そうした社会を実現するために日本の産業が目指す姿(コンセプト)として「Connected Industries」という言葉が使われるようになった。

言葉だけ聞いていると混乱するが、IoT(モノのインターネット)が進むことで産業や社会が国境を超えてつながり、ビッグデータが集積され、それを分析・学習することでAI(人工知能)がますます賢くなり、それとともにロボットも賢く柔軟な動きに対応できるようになって、近い将来にはロボットがロボットをつくる工場も誕生しそうな雰囲気になっている。

AI、膨大な情報を分析して傾向を見いだすビッグデータ解析、ロボット―これらの開発に研究費や人材をつぎ込み、技術を組み合わせて新たな製品やサービスを生み出すことが現実のものとなってきている。電力計がスマートメーターになったように、単なる計測装置にすぎなかった機器が通信機能をもち、インターネットに接続することで膨大な情報を機器同士がやりとりする時代が目の前までやってきている。

数千円のセンサーでローコストIoTを実現

先日訪問した工場では、数千円で入手できる加速度センサーや温度センサーを自社の設備に取り付けて、試験的に機械の稼働監視・保守に活用していた。まだ実験段階で、接続している機械の台数はわずかだったが、実証試験の結果によっては工場のすべての機械にこうしたセンサーを取り付けて、稼働監視や保全に活用したいと話されていた。

先日、NHKの報道番組を見ていたら、トヨタの協力会社がこの会社と同じように数千円のセンサーをすべての設備に取り付けて稼働監視を始めていると報じられていた。2ケタ以上の設備機械にセンサーを取り付け、通信アンテナを工場内に設備すれば、あとはパソコンで制御するだけなので設備投資コストを抑えることができた、と社長がインタビューに答えていたのが印象的だった。

最近は生産財メーカーがIoT時代に対応し、サービスの一環として機械にさまざまなセンサーを装備して、機械の稼働状態をモニタリング。部品が故障して大規模なメンテナンスが必要になる前に予防保全を行う、「止めない」「待たせない」ためのリモートサービスが活発に発表されている。どのメーカーが発表したシステムも、大なり小なりこうした機能を備えており、大きな差異はない。

つづきは本誌2017年7月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

板金論壇記事一覧はこちらから