特集

板金業界に浸透する理念経営

「人財育成は教育次第」を掲げ、全員参加のビジョナリー経営を目指す

売上高の90%がスチールドア関連

株式会社 島本製作所

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画像:「人財育成は教育次第」を掲げ、全員参加のビジョナリー経営を目指す島本謙次社長(右)と島本浩司専務(左)。社員食堂に掲示した会社の貸借対照表(BL)と損益計算書(PL)の前に並ぶ

鋼製建具を手がける老舗板金企業

徳島県板野郡にある㈱島本製作所は、スチールドアやマンションの玄関ドア枠などの鋼製建具を手がける創業71周年目の老舗板金企業。

創業は1947年、同社の創業者である先代の島本真平氏が兄弟3人で「社会の役に立ちたい」という信念のもと、農機具製造の仕事をスタートする。しかし、島本真平氏は、「これからは農業よりも住宅産業が栄える」と考え、兄弟とは別の道を進むことを選択し、1957年に㈱島本製作所を設立、手がける業種を木製・鋼製建具関連へシフトした。

当時、全国各地にある学校校舎の窓枠を木製から鋼製に置き換える動きが活発化、鋼製サッシの需要が急激に高まったことで同社の仕事は拡大した。その後は、ステンレスやアルミ製サッシの製作も手がけ、1960年にはサッシの施工事業を立ち上げるなど事業を拡大してきた。事業拡大ともに設備投資も意欲的に推進。1986年に導入したパンチングマシンOCTを皮切りに、1989年にはパンチングマシンPEGA、6m対応のシャーリングマシン、Vカットマシン、2006年と2015年にはパンチングマシンEM-2510NTを導入するなど、同業他社に先駆けた設備拡充を継続してきた。

経営方針もユニークだ。会社の社歴や3カ年方針と年度方針、貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)を社員食堂に掲示、前々期・前期・当期の試算表(見込み)を公開。経営をガラス張りにすることで社員と経営数値の共有化を図り、「全員参加型経営」と理念経営(ビジョナリー経営)を目指している。

画像:「人財育成は教育次第」を掲げ、全員参加のビジョナリー経営を目指す板金工場。1,000坪の敷地に3棟建っている工場のひとつ

売上高の90%がスチールドア関連

同社は1957年にサッシ業界に参入して以降、サッシ・玄関ドアといった鋼製建具の製作に長年携わってきた。売上に占める比率はスチールドア関連が90%以上。主要得意先は、創業以来40年以上の取引が続く徳島県にあるマンションの玄関ドアメーカーや徳島県外の大手建材メーカーで、売上の大半を占める。

「創業以来、鋼製建具、玄関ドア、サッシ関連の仕事は景気の影響を受けやすく、ずいぶん山谷がありました。1960~1980年代は、需要は右肩上がりで推移してきましたが、1990年代に入るとバブル崩壊や地価下落など、マイナス要因が多くなり経営環境が悪化しました。そのたびに『ピンチこそチャンス』と考え、最新マシンを導入して生産合理化、効率化を進め、苦境から脱出してきました」。

「一時期、アルミサッシの施工・販売が主力事業になるまでに成長しましたが、施工事業は15年ほど前に縮小し、いまは製造に特化しています。ここ最近の鋼製建具、玄関ドア、サッシ関連の需要は、業界全体としては一昨年から昨年までが好調でした。しかし、今年はメーカーによって計画に変動がみられるのではないかという印象を持っています」と島本謙次社長は語る。

  • 画像:「人財育成は教育次第」を掲げ、全員参加のビジョナリー経営を目指す溶接工場。15名の溶接作業者が作業している
  • 画像:「人財育成は教育次第」を掲げ、全員参加のビジョナリー経営を目指す月間3,500~4,000件のドア・枠を出荷している

会社情報

会社名
株式会社 島本製作所
代表取締役
島本 謙次
住所
徳島県板野郡松茂町中喜来字福有開拓308-17
電話
088-699-4125
設立
1957年(1947年創業)
従業員数
27名
主要事業
精密板金、各種サッシ・ドア・カーテンウォール・シャッターなど内外装金属パネルの施工、スチールサッシ・ドアの製作
URL
http://shimamoto-fac.com/

つづきは本誌2017年6月号でご購読下さい。

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