Interview

“社長創業50周年”を祝う

“遊び心”でピンチをチャンスに

有限会社 志村プレス工業所 代表取締役社長 志村 正廣 氏

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画像:“社長創業50周年”を祝う微細カラーマーキング事業を展開。光の干渉を利用した発色デザインシリーズの各種ボタン

「お客さまの喜びにつながるモノづくりがしたい」がモットーの㈲志村プレス工業所の志村正廣社長が4月、愛知県小牧市内のホテルで「社長創業50周年記念祝賀会」を開催した。会社創業のセレモニーというよりも、15歳で父の片腕として会社を切り盛りするようになってから50年。今年65歳を迎えたのを記念して、“自分を褒める祝賀会”をポケットマネーで開催した。祝賀会には親交のあるジャズ演奏家、シンガー、アナウンサーなども参集、圧巻だったのは社長自身がバンドの生演奏に合わせ「屋根の上のバイオリン弾き」の歌曲を披露したことだ。

その歌声をBGMに、事業継承を託す自身の子息と甥に花束を贈呈するサプライズもあった。「日は昇り 日は沈み 月日が流れ たち替わる季節ごとに 人もまた成長する」という歌詞そのものの人生を生きてきた志村社長の想いが、次世代に「どんな言葉をかけたら この子達を導びけるのか 自分たちで切り開いていくわ 日ごとに」と語りかける光景が強い印象を残した。

金型製作からプレス、精密板金と多種多様な仕事を重ねてきた志村社長は、とくにレーザ加工に注目、7機種のレーザマシンを導入、あらゆるニーズを獲得するため日夜奮闘して今日を築いてきた。2014年、2015年と相次いで導入したファイバーレーザマシンをきっかけに、省エネに対応したエネルギー・マネジメント・システム(EMS)を導入、環境にも配慮したモノづくりを業界に先駆けて導入している。また2年前からは光の干渉を利用した発色デザインの仕事に取り組み、デザイナーを採用して新規事業であるデザインボタンの製造・販売事業を開始。“社長創業50周年”を迎えた志村社長に、ご自身の歩みと次世代への想いを語ってもらった。

社長創業50周年

画像:“社長創業50周年”を祝う志村正廣氏

―社長創業50周年おめでとうございます。Facebookで祝賀会を知り、志村社長らしいなと思いました。

志村正廣社長(以下、姓のみ) 「ここまでの苦労を褒めてやりたい」と思い、“自分を褒める祝賀会”を開催しました。1964年に父の志村壽廣が志村プレス板金工作所を創業、今年で53年目になります。父母が懸命に働く姿を見て、少しでも楽にさせたいとの思いで15歳の春、定時制高校に通いながら家業を手伝うことにしました。職人気質の父を、外交的な母がカバーしながら会社を盛り立ててきました。1969年に鋼製物置で有名な大手メーカーが愛知県犬山市に工場を設置され、母と日参、金型製作やプレス加工の仕事を受注、志村プレス工業所としました。

  • 画像:“社長創業50周年”を祝う2台目のファイバーレーザマシンFLC-3015AJ+ASF-3015AJ
  • 画像:“社長創業50周年”を祝う曲げ工程。曲げのロボット化を計画している

変化対応力

―社長に初めてお目にかかったのは20年ほど前、YAGレーザ溶接機を導入された頃だったと思います。プレス加工からの変遷を知り、対応力がある社長だと思っていました。

志村 1980年に㈲志村プレス工業所となり、事業もようやく軌道に乗り始めました。ところが量産の仕事は次第に海外へ移転されるようになり、1985年にアマダのベンディングマシンを導入、板金加工にも取り組むようになりました。プレスでブランク加工して、ベンディングマシンで曲げ加工するようになりましたが、ロットが多く、作業者は大変でした。

そこで、1988年にベンディングロボットBM-100を導入、省力化を図り、固定費負担を軽減しました。世の中はバブル景気で株式や不動産などへの投資が花形でしたが、私は設備投資に回しました。やがてバブル崩壊、最新設備に投資していた当社は苦境を乗り切ることができました。その後、YAGレーザ溶接機や3次元レーザマシンを導入、自動車関連部品の試作の仕事も行うようになりました。

1998年、私が社長に、弟の隆が専務に就任しました。この頃から製造業界では外国人実習生を活用する傾向が顕著になり始めました。私は3年で帰国する実習生よりも、これからはIT化が進むと考え、ベトナムの優秀な女性の大卒者をCAD/CAMのオペレータとして活用することを考え、2005年に採用、あわせて3次元ソリッド板金CAD SheetWorksを導入、三面図から製品の3次元モデルを作成、展開するプログラムを担当してもらいました。

  • 画像:“社長創業50周年”を祝う電力デマンド管理システムの履歴。EMS導入で大幅な省エネを実現している
  • 画像:“社長創業50周年”を祝う小型YVO4レーザマシンで、ステンレスやチタンの表面を彫るように加工して発色させる

会社概要

会社名
有限会社 志村プレス工業所
代表取締役社長
志村 正廣
住所
愛知県小牧市大字三ツ渕原新田371-1
電話
0568-77-0135
設立
1980年
従業員数
18名
主要事業
レーザ切断加工、精密板金加工、溶接(レーザ溶接加工)、プレス加工、組立、試作提案
URL
http://www.shimura-press.co.jp/

つづきは本誌2017年6月号でご購読下さい。

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