Sheet now

板鍛造技術のパイオニア、コンビネーションフォーミングを提唱

海外展開、医療分野、自社商品―新たな成長戦略

株式会社 サイベックコーポレーション

LINEで送る
Pocket

画像:板鍛造技術のパイオニア、コンビネーションフォーミングを提唱複数台のプレスマシンを連結させたコンビネーションフォーミングの一例。同社のコア技術であるCFP工法を用いて厚板材からプレス加工によりサイクロイドギヤを成形するライン。左から、デジタルサーボプレスSDE-2025(200トン)、プレスマシン(630トン)、ナックルリンクプレスPDL-300(300トン)×2の計4台

板鍛造技術のパイオニア

㈱サイベックコーポレーションは、長野県塩尻市にある開発型のプレス加工企業。もともとはプリンタやOA機器といった弱電向け精密部品を手がけていたが、1990年代後半から自動車業界へと進出し、大手自動車部品メーカーと取引をスタート。今では売上の70~80%を自動車部品が占めている。

同社は「板鍛造技術」のパイオニアとして、よく知られている。1990年代に粉末成形でつくられていたハードディスク部品に板鍛造技術を適用したのがはじまりで、その後は板鍛造技術をベースに「CFP工法」(Cold Forging Progressive:冷間鍛造順送プレス工法)を独自開発した。

「板鍛造」は、複雑形状を得意とする板金プレスの絞り・せん断に、押出しや据込み、半せん断、ファインブランキングの要素を組み合わせることで、肉厚を含む断面形状までコントロールする塑性加工技術。複雑な3次元形状の機能部品も板材から切削レスで高精度加工ができるため、コストメリットが大きい。

「CFP工法」は、順送プレス加工技術と冷間鍛造技術を組み合わせた工法で、複数工程を組み合わせた高精密鍛造型を高剛性・高精度の順送プレスに搭載し、高速連続加工することで高付加価値生産を実現できる。

同社は板鍛造技術とCFP工法をはじめとした高い技術力で、大手自動車部品メーカーのパートナー企業として成長。現在は、自動車のエンジン・トランスミッション・電動制御・シート部などに使われる精密部品の加工を中心に手がけている。

2009年に2代目社長に就任した平林巧造社長は、2012年9月に新工場を建設。平林社長が「夢工場」と呼ぶこの工場は、プレス加工ラインの地上棟(約7,500㎡)と、地下11mの金型加工用工場(約2,500㎡)で構成されている。

地下工場はもともと微振動な空間だが、さらに特殊な防振材を敷き詰めることにより、限りなく振動ゼロに近い空間となっている。また、温度が徹底管理され、室温23.0±0.3度に保たれている。板鍛造技術やCFP工法の要である高剛性・高精密な金型は、加工精度に影響する振動や温度といった“外乱”を極限まで抑制した環境から生み出されている。

  • 画像:板鍛造技術のパイオニア、コンビネーションフォーミングを提唱代表取締役社長の平林巧造氏
  • 画像:板鍛造技術のパイオニア、コンビネーションフォーミングを提唱新工場の地下11mに建設された金型製作用の地下工場。振動や温湿度変化といった“外乱”を徹底的に抑制した理想的な金型製作環境となっている

海外展開、医療分野、自社商品―新たな成長戦略

平林社長は自動車市場について、次のように語っている。

「自動車のサプライチェーンはグローバル化が進み、世界の自動車需要は新興国を中心に拡大を続けています。その一方で、環境問題への意識が世界的に高まる中、ガソリン車から次世代自動車―電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)への切り替えが早まる可能性もあります。もちろん、新興国を含む世界の自動車市場で一気に次世代自動車に切り替わることはありませんから、ガソリン車の需要は今後も伸びていくでしょう。しかし、自動車関連の仕事が売上の70~80%を占めるようなビジネススタイルは、いずれ成立しなくなると考えています」。

こうした現状認識を踏まえ、平林社長は同社の新たな成長戦略として、「海外市場の開拓」「医療分野の開拓」「自社商品の強化」という3つのキーワードを打ち出している。

会社情報

会社名
株式会社 サイベックコーポレーション
代表取締役社長
平林 巧造
住所
長野県塩尻市広丘郷原南原1000-15
電話
0263-51-1800
設立
1973年
従業員数
85名
主要事業
自動車用機能部品・自動車用超精密部品・環境部品・医療部品・コンピュータ周辺機器・光学機器・電動工具部品
URL
http://www.syvec.co.jp/

つづきは本誌2017年6月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

Sheet now記事一覧はこちらから