特集

第29回優秀板金製品技能フェア

初参加で経済産業大臣賞を受賞

実製品の1/4サイズで製作した環境試験機(恒温槽)

有限会社 浜部製作所

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画像:初参加で経済産業大臣賞を受賞①第29回優秀板金製品技能フェアで経済産業大臣賞を受賞した「環境試験機(恒温槽)1/4サイズ」(W295×D468×H468㎜、SUS304 ♯400・板厚1.5㎜)/②環境試験機(恒温槽)の背面。実製品と同様の銅管、この製品のために新たに作成したファン、最大の特徴であるリベット結合の一部が見える

初参加で経済産業大臣賞を受賞

画像:初参加で経済産業大臣賞を受賞同社が製造・販売する環境試験機(恒温槽)

㈲浜部製作所は第29回優秀板金製品技能フェアの「組立品の部」に初めて応募、経済産業大臣賞を受賞した。初参加で大臣賞を受賞した例は極めて少ない。

応募製品は「環境試験機(恒温槽)1/4サイズ」で、同社が開発・製造・販売を手がける環境試験機(恒温槽)のミニチュア版で、実際に恒温槽として動作する。従来の溶接構造からリベット構造に置き換えることで熟練作業を不要にし、生産効率を3倍に高めたことが評価された。

「当初の目標は『アマダ賞』。それから少しずつステップアップしていこうと考えていたら、いきなり経済産業大臣賞をいただいてしまい、驚きました。最初に受賞の報せを聞いたときは『そうかそうか、よかったなあ』と簡単に受け止めていましたが、新聞に取り上げられ、金融機関や協力会社のみなさんがお祝いに駆けつけてくださって、少しずつ賞の重みを理解していきました。当社が入居する西神工業団地の理事会でも真っ先に紹介していただき、『チャレンジ精神があって良い』『素晴らしい!』とみなさん口々に讃えてくださいました」と濱部社長は満面の笑顔で語ってくれた。

画像:初参加で経済産業大臣賞を受賞本社エントランス前に集合した同社スタッフと、経済産業大臣賞の賞状を持つ濱部晃社長(前列・中央)。濱部雅人専務(前列・右から3人目)、応地広幸工場長(前列・左から3人目)、恒藤幸夫製造部長(前列・右から2人目)、濱部さやか取締役(前列・左端)の4人が今回の応募製品づくりのコアメンバー

板金加工から環境試験機メーカーへ

濱部晃社長は1989年11月、29歳で溶接作業を主体とする個人企業を創業した。溶接技術に定評があった濱部社長のもとには難易度の高い溶接の仕事が集まり、事業は軌道に乗っていった。そこで、上流工程の抜き・曲げ加工まで手がけることで付加価値拡大を考え、各種制御盤の製作を行うようになった。

2010年、環境試験機などを取り扱う商社から、「幅広い用途で使われるリチウムイオン電池の環境試験機に対するニーズが増えている。省力化機器や釘刺し試験機といった安全性試験機を製作しないか」という話があった。

濱部社長の背中を押したのが、濱部雅人専務だった。当時、ものづくり大学の制御工学科の大学院生だった濱部専務は、将来の事業継承者としての自覚を学生時代から持っており、大学院卒業後は数年、海外で経験を積むつもりでいた。しかし、濱部社長の話に惹かれ、専攻した制御工学の経験を活かせる恒温槽や環境試験機に関心を持った。

ふたりは「当社のように板金加工から携わっているメーカーはない。おもしろい取り組みができる」という認識で一致した。それを契機に濱部専務は2010年に入社した。

画像:初参加で経済産業大臣賞を受賞左:3次元設計とバーチャル試作により、フロントローディングによる設計が行え、試作を削減。/右:WinNESTによるネスティング(写真)を行うことで、スケッチ加工を行っていた従来と比較して、歩留りが51%向上。

  • 画像:初参加で経済産業大臣賞を受賞Dr.ABE_Bendの加工シミュレーションで「不可」と判定されたが、金型にスリットを入れるなどの工夫で対応(写真左)。
  • 画像:初参加で経済産業大臣賞を受賞溶接構造からリベット構造に置き換えることで熟練作業を不要にし、溶接箇所を減らすことで、生産効率を3倍に高めた。

会社情報

会社名
有限会社 浜部製作所
株式会社 ハマベ(販売会社)
代表取締役
濱部 晃
住所
兵庫県神戸市西区高塚台3-1-50
電話
078-991-1794
設立
1989年
従業員数
25名(ハマベ5名含む)
主要事業
自動省力化機器・恒温槽の設計製作、各種制御盤の製作、精密板金加工
URL
http://www.hamabe-ss.jp/

つづきは本誌2017年5月号でご購読下さい。

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