特集2

好調な台湾板金業界

新たな経済成長を目指す台湾に追い風

輸出・設備投資・民間消費が拡大

LINEで送る
Pocket

画像:新たな経済成長を目指す台湾に追い風日本から台湾への投資件数および投資金額の推移/野村総合研究所

膠着状態の台中関係を融和させる経済

2016年1月の総統選挙の結果、台中融和を進めてきた国民党の馬英久氏が落選し、「台湾アイデンティティ」を強調する民進党の蔡英文氏が台湾総統に就任した。台中関係は、中国側窓口機関の海峡両岸関係協会と、台湾側窓口機関の海峡交流基金会が1992年に香港で行った協議で、台中両国が「一つの中国」原則を確認しつつ、今後協議していくという「九二共識」(92コンセンサス)に基づき、馬政権時代に大きく改善した。

しかし、蔡政権は九二共識の歴史的事実を認めたものの「一つの中国」については具体的な発言を行っていない。そこで、中国は台湾への圧力を強め、政府間協議のみならず窓口機関との対話も一方的に停止している。

中国は台湾を訪問する中国人観光客の数を制限、蔡政権誕生の5月以降、中国人観光客は前年同月比で38%減少したといわれ、観光業を中心に深刻な影響が出ている。

しかし、台湾経済全体では輸出の加速、設備投資の拡大によって経済は回復基調にある。2016年第4四半期の実質GDP成長率は前年同期比2.58%と、前四半期(同2.03%)から上昇した。2016年第2四半期以来、3四半期連続のプラス、2四半期連続の2%超となった。2015年第3四半期から2016年第1四半期まで3四半期連続でマイナス成長となったが、その後は着実に回復し、2016年第4四半期の伸び率は7四半期ぶりの高水準となった。

スマートフォンなどの需要増を受け、半導体など電子情報産業を中心にした製造業が増産投資を積極化し、投資や在庫を含む資本形成が8.24%増と想定以上に伸びた。また、これにともない民間消費も1.27%増となり、国内景気は引き続き回復を持続している。

つづきは本誌2017年5月号でご購読下さい。

LINEで送る
Pocket

関連記事

特集2記事一覧はこちらから