特集

本格普及期を迎えたファイバーレーザ溶接の活用事例

医療機器筐体にファイバーレーザ溶接を活用

完成度の高い製品と技術力で50年以上の受注歴

有限会社 小田切工業

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画像:医療機器筐体にファイバーレーザ溶接を活用①2015年3月に導入したファイバーレーザ溶接システムFLW-2000M2。TAS(ティーチング・アシスト・システム)を使ってティーチング中/②FLWによるファイバーレーザ溶接加工/③溶接が完了した製品

医療機器向けの仕事が事業の柱

小田切彰社長は学校を卒業すると長野県屋代町(現在は千曲市)にあった医療機器メーカー、㈱千代田製作所(2005年にサクラ精機㈱に社名変更)に入社、医療機器の板金筐体などの加工に携わった。技術を身につけ、1969年に仲間とともに退社、共同で板金・溶接の工場を開業。サクラ精機から医療機器の板金溶接の仕事を受注してきた。

1979年に共同運営の工場から分離独立。小田切社長は夫人の実家の溶接工場の一角を借り、個人会社として小田切工業を開業する。1983年に㈲小田切工業として法人化した。

会社形態は異なっても、小田切社長の腕を見込んだサクラ精機からの仕事は途絶えることなく順調に継続した。サクラ精機が製造する医療用および産業向け各種滅菌装置、洗浄装置、病理学的検査(組織診断、細胞診断、免疫組織化学診断)分野向け標本作製機器などの筐体や各種板金製品の仕事を受注。現在では主に輸出向け装置の製品を中心に、売上の90%以上を占める。

同業者から受注する半導体製造装置やコンピュータ周辺機器の板金加工の仕事も手がけているが、受注変動も大きいため、安定した医療機器向けの仕事が同社の事業の柱となっている。

  • 画像:医療機器筐体にファイバーレーザ溶接を活用パンチングマシンEM-2510NT
  • 画像:医療機器筐体にファイバーレーザ溶接を活用ベンディングマシンHDS-5020NT

半世紀以上、サクラ精機の仕事に携わる

小田切社長は会社創業から現在までの経緯を次のように語っている。

「私は昭和18年(1943年)の生まれで、今年で73歳。55年余りにわたってサクラ精機さまのお仕事に携わっています。現在は千曲市にあるサクラ精機さまの長野本社工場に加え、八幡工場、千曲工場からも仕事をいただいています。以前は一時期、長野本社工場の調達部門で集中購買されていましたが、現在は各工場で調達を行うようになり、工場間で納期が重なることもありますが、何とか調整しながら3工場からのお仕事を効率よく回しています」。

「医療機器は厚生労働省の製造認可の関係もあって、一度仕様が決まると長期間にわたって、生産が継続する傾向があります。リピート率も高くなりやすく、当社にとってはありがたい状況です。当社は当初から設計・開発部門とのお取引が長く、開発試作に長年携わってきました。試作段階では、まず図面どおりに製作、製品として流れるようになってからVA提案を行うようにしています」。

  • 画像:医療機器筐体にファイバーレーザ溶接を活用仕上げ作業を終えた製品
  • 画像:医療機器筐体にファイバーレーザ溶接を活用出荷待機中の医療機器関連の筺体

会社情報

会社名
有限会社 小田切工業
代表取締役
小田切 彰
住所
長野県長野市篠ノ井御幣川703-4
電話
026-293-3362
設立
1983年
従業員数
15名
主要事業
医療用機器、半導体製造装置、OA・コンピュータ・周辺機器の板金部品・ユニット製品の加工・組立

つづきは本誌2016年12月号でご購読下さい。

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