Interview

「BtoB」から「BtoC」へのシフト―チャレンジ精神で道を切り拓く

三越伊勢丹の「SEKItoWA(セキトワ)」ブランドとコラボレーションした「マグネシウム合金製アタッシュケース」

ツツミ産業 株式会社 代表取締役 堤 健児 氏

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画像:「BtoB」から「BtoC」へのシフト―チャレンジ精神で道を切り拓く①アタッシュケースの内装は、鹿革に漆で模様付けした伝統工芸の「印伝(いんでん)」(左)や花地紋(右)で意匠を凝らしている/②「マグネシウム合金製アタッシュケース」は、三越伊勢丹の「SEKItoWA(セキトワ)」ブランドとしても販売している

試作板金専門メーカーのツツミ産業㈱が開発した「マグネシウム合金製アタッシュケース」が9月、三越伊勢丹の「SEKItoWA(セキトワ)」ブランドとコラボレーションを行い、販売が始まった。

「SEKItoWA」とは、古き良き日本の手仕事を後世につなぐことを願い、三越伊勢丹が総力を挙げてスタートしたブランド。藍・漆・金箔などに代表される日本固有の伝統工芸と、製造メーカーが培ってきた高いモノづくり力―“現代工芸”を掛け合わせ、モダンなプロダクト(製品)を世に送り出そうとする意欲的な取り組みだ。

こうした今までにない取り組みが進むなか、ツツミ産業が開発したアタッシュケースが「SEKItoWA」ブランドのひとつに選定された。マグネシウム合金の加工を15年以上続けている同社は、これまでダイカスト工法が主流だったマグネシウム合金を、レーザ加工や温間曲げ加工による板金加工に置き換える加工方法を確立するなど、マグネシウム合金の加工には定評がある。

アタッシュケース開発のきっかけは、「BtoB」から「BtoC」へのシフトを考えたことだった。「守りの姿勢では培ってきた技術力が埋もれてしまう」と考える堤健児社長は、消費者に直接訴えかける「BtoC」の観点が必要と決断。販売会社セブンファイブを新設するなど、「BtoC」向け事業も本格化している。

加工難度が高いマグネシウム合金の加工への挑戦をはじめ、チャレンジ精神で新たな道を切り拓く堤健児社長に話を聞いた。

マグネシウム合金を98%使用

画像:「BtoB」から「BtoC」へのシフト―チャレンジ精神で道を切り拓く堤健児氏

―御社が開発した「マグネシウム合金製アタッシュケース」が9月、三越伊勢丹の「SEKItoWA(セキトワ)」ブランドとして発売されました。

堤健児社長(以下、姓のみ) 三越伊勢丹さんとコラボレーションしたアタッシュケースは、9月3日と4日に伊勢丹新宿店で、9月10日と11日に日本橋三越本店で展示され、販売がスタートしました。

このアタッシュケースは、ケース全体の98%がマグネシウム合金でできており、パーツは全部で75点。一部の機械加工部品を除き、すべて板金加工でつくっています。市販品のほとんどはメーカー基準でサイズが決められていますが、当社は金型を使用せず加工するため、サイズはお客さまのご要望どおりにつくることができます。背の高い人、肩幅が広い人など、体形に応じてお客さまの要求を満たすことが重要だと思います。アタッシュケースの基本サイズは、W420×D55×H340㎜。重量は1,600グラムになります。

主な特徴としては、閉じる寸前の数㎜でフックが飛び出し、開けた状態での引っかかりなどが生じない「ロック機構」。加工の難しさを乗り越え、持ち手の曲線や滑らかさを表現した「手に馴染む持ち手」。熱加工時に歪みが生じやすいマグネシウム合金の特性を克服し、正確な寸法で完成させた「フラットなボディ」―などが挙げられます。

画像:「BtoB」から「BtoC」へのシフト―チャレンジ精神で道を切り拓くツツミ産業㈱が開発した「マグネシウム合金製アタッシュケース」。アタッシュケースの構成部品は全部で75点(掲載写真の構成部品はアタッシュケース1セット分)

会社情報

会社名
ツツミ産業 株式会社
代表取締役
堤 健児
住所
神奈川県相模原市緑区橋本台2-5-30
電話
0427-71-0380
設立
1965年
従業員数
60名
業種
レビ・ビデオ機器部品の製作、通信機器・計測機器および事務機の機械部品の製作、音響機器の機械部品の製作、金型製作、自社製品の開発・製造・販売など
URL
http://www.tsutsumi-s.co.jp/

つづきは本誌2016年12月号でご購読下さい。

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