Independents ― 事業継承者の起業家精神

「改革の種火」を広め、受け継ぐ

JMCでの学びが20年後にも役立つかけがえのない財産に

ジェミニ工業 株式会社 取締役 中原 猛 氏

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18歳で父親が急逝

画像:「改革の種火」を広め、受け継ぐ中原猛氏

「父が急逝したのは1996年、私が18歳で大学1年生のときでした。父はまだ50歳で、心不全で旅先で亡くなりました。まったく予期していなかったので、ショックというよりも、実感が湧きませんでした」と中原猛取締役は振り返る。

残されたのは、中原取締役と、母親である中原洋子社長、それに姉1人と妹2人。男性は中原取締役だけとなり、「自分がしっかりしなければ」と思ったという。

それまで中原取締役は、父親の会社を事業継承することについて真剣に考えたことはなかった。しかし「社員もいるし、会社は続ける。私が2代目になる」という母親の決意を聞き、長男として事業継承への思いがふつふつと沸き起こってきた。

「大学を辞めて手伝う」という中原取締役の申し出に対して、中原社長は「気持ちは嬉しいが、せっかく入ったのだから大学は出てほしい。大学を出たら手伝って」と諭した。

  • 画像:「改革の種火」を広め、受け継ぐ3次元CADで作成した製品モデル
  • 画像:「改革の種火」を広め、受け継ぐハンディターミナルで作業指示書から進捗情報を取得

品質の高さと設計からの対応力が強み

ジェミニ工業㈱は、中原取締役の父親である中原直人氏が精密板金企業に勤めた後に独立、1984年に大阪府大阪市で中原製作所として創業した。翌年には株式改組し、ジェミニ工業㈱に社名を変更。中原直人氏には「“公”のものである株式会社にするからには固有名詞の『中原』ではなく、普遍的(抽象的)は社名の方が良い」という思いがあり、自身が双子座だったためにジェミニ工業と名づけた。事業は順調に軌道に乗り、すぐに工場が手狭になったため、1987年には兵庫県尼崎市の現在地に移転した。

手がける製品は、集中監視テレビカメラシステムや車載ネットワークシステム、業務用空気清浄機などに用いられる小型・中型の精密板金筐体が中心。肩幅サイズ以下の筐体を塗装・シルク印刷まで行ってから納めることが多い。

現在の得意先は30社くらいで、そのうち主要5社で売上全体の60~70%を占める。この5社はいずれも初代社長が開拓した得意先で、30年以上にわたって取引が継続していることからも、サプライヤーとしての同社への信頼の高さがうかがえる。

  • 画像:「改革の種火」を広め、受け継ぐ病院の再診受付機のカバー
  • 画像:「改革の種火」を広め、受け継ぐ空気清浄機の光触媒ユニット。同社が設計・試作・量産を行った

会社情報

会社名
ジェミニ工業 株式会社
代表取締役
中原 洋子
取締役
中原 猛
住所
兵庫県尼崎市次屋3-14-24
電話
06-6494-0678
設立
1985年
従業員数
15名
事業内容
精密板金・組立配線、メカトロ関連開発・設計
URL
http://www.gemini-ind.co.jp/

つづきは本誌2016年12月号でご購読下さい。

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