板金論壇

経営者の夢とこれからを予見するビジネスモデル策定が重要

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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海外サプライヤーも脅威に

本号で紹介しているタイの板金サプライヤー、JINPAO(14ページ参照)の事例は、読者の皆さまにもかなりショッキングであり、脅威と感じられた方もおられたと思います。

同社は2002年から板金加工に本格参入、15年経過する中で年商は40億円を超すまでになりました。付随して、従業員数も1,070名と大きく成長しています。驚くのは日本の業界にも導入事例が少ない最新設備を導入していること。スマート・マニュファクチャリングに対応するためIoTを活用した独自のプラットフォームも開発。モノづくりプロセスの“見える化”にも熱心に取り組んでいます。さらに自動車産業向けの品質マネジメントシステムISO16949、航空宇宙産業における品質 マネジメントシステム規格JISQ9100(AS9100C/EN9100)、航空宇宙・防衛産業界の特殊工程の国際認証であるNadcapもすでに取得している準備の良さです。

売上に占める割合でみると、航空宇宙分野が21%、自動車産業が5%になります。なかでも、航空宇宙分野は前年同期比で50%以上売上を拡大させています。世界的に見ても、短期間でこれ程の成長を遂げている板金サプライヤーは数えるほどしかありません。55歳になる創業社長が「自分にはモノづくりの技術がない。しかし、誰にも負けない夢を持っている。そして夢を実現するための手段を準備することは怠らない。夢も語れず、その夢を実現する手段も準備できない経営者に成功はおぼつかない」と断言した時の自信に満ちた顔が今も思い出されます。

経営トップの「器」で企業の伸び代が決まる

帰国して、私がこの経営者から受けた衝撃を、お会いする経営者にお話すると、「経営者の想いは一緒だと思う。でもそれをはっきりと語れるのがすごい」と反応される方々が多かった。他人事と感じている経営者は1人もいなかったことは喜ばしいのですが、それに対して「自分だったらこんな夢やビジョンがある」と語ってくれる方が皆無だったのが残念でした。私はこれまで、誌面を通して「企業はリーダーであるトップの器で伸び代が決まる」ということを書いてきました。そういう意味でトップには経営者の熱い思い―夢またはビジョンを社員や回りの方々に「語る」ことが重要だと思います。

つづきは本誌2016年10月号でご購読下さい。

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