Independents ― 事業継承者の起業家精神

“外の世界”を知り、改革を進める

長野県シートメタル工業会・青年部会の代表に就任、地域産業の活性化を目指す

伸商機工 株式会社 代表取締役社長 宮川 岳洋 氏

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大学在学中に事業継承を決意

 画像:“外の世界”を知り、改革を進める宮川岳洋(たかひろ)氏

「小さい頃から、自分が社長の息子という意識はありましたが、父親からはっきり会社を継げと言われたことはありませんでした。中・高校生の頃は、夏休みには工場に入って、タップ立てなどの仕事を手伝いました。単純作業でしたが達成感があって、自分も早く働けるようになりたいと思っていました。昼休みに父親に近所のラーメン屋へ連れていってもらったのも、楽しい思い出です」と宮川社長は振り返る。

高校卒業後は家業から距離を置き、東京都武蔵野市にある日本獣医畜産大学(現・日本獣医生命科学大学)へ進学、実家を出て獣医畜産学を学びながら、体育会のサッカー部で精力的に活動した。しかし在学中に、父親である宮川定也(さだなり)会長が病に倒れたことがきっかけとなり、事業継承を決意することになる。

宮川社長は「自分がやらなければ」という使命感がわき上がってくるとともに「小さい頃に仕事を手伝ったときの達成感と楽しさが思い出されました。社長になれば、あの楽しさを自分の裁量でできるようになる―そんな素朴な憧れもあって、事業継承を決意しました」と笑う。

大学卒業後は須坂市に戻り、地元の大手金型メーカーで3年間勤務。プロファイル研削盤、パワープレスのオペレーションや、半導体製造装置の組立工程などを経験した。

2001年、28歳で伸商機工に入社後は、シャーリング、セットプレス、パンチングマシン、レーザマシンなどを使った作業を経験した。また、2005年には経理を担当していた母親が入院したことで、病院に通い、母親の指導を受けながら経理業務もこなすなど、多様な業務に携わっていった。

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半導体製造装置関連が70%を占める

伸商機工は、宮川定也会長が1976年に設立した。大手建材メーカーに勤務していた宮川会長は、母親が亡くなったのを機に郷里・須坂市に戻り、家を継いだ。

帰郷してからは設備工事の仕事を手がけていたが、常に留守がちで、激務により体調を崩したため、ひとつの場所で事業ができる板金加工業をスタート。その後は地元の大手通信機器メーカーや半導体製造装置メーカー、大手金型メーカーなどとの取引で発展してきた。

現在は、半導体製造装置向けのトビラやカバー、フレーム、ブラケットなどが受注の70%ちかくを占め、トビラやカバーは設計から加工、組み付けまで対応する。

加工する素材は鉄・ステンレスが半々で、特に溶接の技術力の高さには定評がある。装置向けの精密製缶加工から医療機器向けの精密板金加工まで幅広く対応し、即日板金にも対応するレスポンスの良さで、信頼を築いてきた。今期の業績は前年比では微減だが、ここ3年は堅調に推移している。

 画像:“外の世界”を知り、改革を進める左:半導体製造装置関連のフレーム。装置向けの精密製缶加工は大型化の傾向にある/右:溶接の技術力の高さには定評がある

会社情報

会社名
伸商機工 株式会社
代表取締役社長
宮川 岳洋
住所
長野県須坂市大字塩野字御林跡1119-3
電話
026-246-8899
設立
1976年
従業員数
25名
事業内容
半導体製造装置・医療機器・食品機械などの部品製作・サブアセンブリー
URL
http://www.sinsyo-kk.co.jp/

つづきは本誌2016年9月号でご購読下さい。

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