板金論壇

スマートフォンやIoT需要で半導体・FPD製造装置市場の拡大に期待する

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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板金業界の回復を牽引する半導体・FPD製造装置

4月には低調だった板金業界の受注動向が、7月に入って堅調な傾向を見せるようになっている。特に半導体・FPD製造装置業界向けの受注拡大が期待されている。「中小型OLED(Organic Light Emitting Diode:有機EL)パネル」と、PC・タブレット・スマートフォン・携帯電話・デジタルカメラなど、さまざまなエレクトロニクス製品を支える大容量のストレージ部品として広く採用されている「3D NAND型フラッシュメモリ」(3D NAND)の需要が好調だからだ。3D NANDは、半導体チップならではの優れたデータ転送性能を活かし、従来のハードディスクドライブ(HDD)に代わる高性能ストレージとして、企業のさまざまな業務システムやクラウド基盤などでも採用が進んでいる。

現在の市場規模は、OLEDパネルが133億ドル、3D NANDが65億ドルと推定されているが、2020年にはそれぞれ250億ドルの市場規模に達すると見込まれ、成長性の高い製品といわれている。

アップルがiPhoneにOLEDパネルを採用

アップルは昨年11月、「iPhone」の表示装置として、鮮明な画像と省電力が特長のOLEDパネルを全面採用し、2018年から出荷することを発表した。スマートフォンの技術を牽引するアップルがOLEDパネルを採用することで、スマートフォン市場は一気にOLEDパネルを採用する方向に向かうことになり、パネル産業は一気にOLEDパネルの増産にシフトすると見られている。

3D NANDに関しては、今年に入って中国のXMCが240億ドルを投入して、湖北省武漢に工場を建設すると発表した。米国の半導体設計会社であるスパンションと合作して工場を建設し、2018年から月20万枚の量産を目標にしている。

また、東芝は米国のウエスタンデジタルと提携して、三重県四日市工場に3D NAND生産工場を新たに建設、既存の工場も3D NAND生産のための最新設備にリニューアルするという。投資規模は3年間で1兆5,000億円。また、東芝は3D NAND生産の割合を2017年に50%、2018年には80%まで引き上げるとも発表した。

サムスン電子は月10万枚を生産している中国西安工場の生産量は増やさずに、韓国・平沢工場の半導体ラインを活用して3D NAND生産設備を増設する。このため、サムスン電子はメモリ・半導体分野に今年から来年にかけ2兆円規模の投資を行うことを発表した。

米国の調査会社、IHSテクノロジーによると、2015年のフラッシュメモリの出荷額の世界シェアは、1位のサムスン電子が30.8%、2位の東芝が19.4%、3位のウエスタンデジタルが15.6%となっている。フラッシュメモリと同様に、スマートフォンに使われる中小型OLEDパネルも日中韓の競争が激化しており、スマートフォンの普及加速によってメーカーの設備競争が始まっている。

つづきは本誌2016年9月号でご購読下さい。

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