特集

食の安全・安心に対応する農業機械と板金加工

養鶏・養豚業向け畜産機械のトップメーカー

大規模化にともない自動化と衛生管理が求められる

株式会社 中嶋製作所

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画像:養鶏・養豚業向け畜産機械のトップメーカー牛舎向け自動給餌システム

畜産機械製造業のパイオニア

㈱中嶋製作所は1921年(大正10年)の創業以来95年にわたり、畜産機械製造業のパイオニアとして、養鶏・養豚・養牛の畜産農家向けに自動給餌システム、自動給水システム、飼料搬送コンベヤーなどの開発・製造・販売を行ってきた。さらに近年は、畜舎の洗浄ロボットや全自動空調システム、採卵養鶏業向けの自動集卵装置といったロボットシステムやトータルソリューションの開発・提供に力を入れ、大規模化が進む畜産農家のニーズに対応している。

売上構成でみると、ブロイラー(食用養鶏)向けと養豚向けが40%ずつ、採卵養鶏向けと養牛向けが10%ずつ。特にブロイラー向けと養豚向けの畜産機械では国内トップシェアをほこる。

中島功雄副社長は「畜産業界の生産者数は、年々減っています。特に口蹄疫や鳥インフルエンザの発生、生産者の高齢化、担い手不足などから小規模の生産者は、廃業へ向かう傾向にあります。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定の交渉妥結によりこの傾向はさらに加速するでしょう。しかし、だからといって日本の畜産業界に未来がないということにはなりません。生産者数は減少していますが、畜産業界全体の飼養数(羽数・頭数)は横ばいで、生産者1戸あたりの飼養数が増え、大規模化が進んでいます。安全・安心な国産肉に対する消費者の根強いニーズが高まるほど、国産畜肉市場と同様に、畜産機械の市場もなくなることはないでしょう。また、生産者の大規模化にともなって、農場運営の自動化・合理化が必要になり、当社が展開している自動化・省力化設備へのニーズが高まっています」と語っている。

画像:養鶏・養豚業向け畜産機械のトップメーカー左:島田正秀常務取締役(左)、中島功雄副社長(中央)、山本正泰取締役製造部長(右)/右:養豚業向け“洗浄型”単頭制限ホッパー

TPPを見据え投資意欲が旺盛な畜産業

島田正秀常務取締役は「米国では、2013~2014年にPED(豚下痢ウイルス)が発生し、2015年初頭に米国西海岸港湾ストライキが発生したことで食肉輸出が低迷しました。その一方、日本国内では、2010年に発生した口蹄疫の被害が最も大きかった宮崎県で、子牛農家の約30%が廃業。こうした様々な要因が重なりあい、国内の食肉の供給量が減少したことで、食肉市場全体の相場が上昇しました。さらにここ1~2年は、この先TPPにより食肉の輸入関税が引き下げられると、食肉市場が甚大なダメージを受けるという見方が広がっています。そのため全国の畜産農家 ― 特に大規模な畜産農家は、食肉市場の相場が上がり業績堅調な今のうちに設備投資をして競争力を高めておか
ないと、TPP発効後は生き残れない、という強い危機感を持っています」と分析する。

生産者の高齢化、担い手不足、畜産農家の大規模化、畜舎の更新サイクル、堅調な食肉相場にともなう設備投資意欲の高まり、TPPへの危機感といった要因が重なりあい、ここ2~3年で畜産機械に対する引合いは急増。同社も2014年7月期に売上30億円を突破して以来、3期連続で増収増益を実現できる見込みとなっている。

  • 画像:養鶏・養豚業向け畜産機械のトップメーカーレーザマシンQuattro(パイプインデックス仕様)で、給餌搬送システムのパイプラインに餌を落とす穴の加工を行う
  • 画像:養鶏・養豚業向け畜産機械のトップメーカーHG-1303などが並ぶ曲げ工程

画像:養鶏・養豚業向け畜産機械のトップメーカー左:2014年に導入したファイバーレーザ溶接システムFLW-4000(シャトルテーブル仕様)/右:自動給餌システムのホッパーの3次元モデル(左)と、FLWで溶接した製品(右)

会社情報

会社名
株式会社 中嶋製作所
代表取締役社長
中嶋 君忠
住所
長野県長野市篠ノ井会33
電話
026-292-1203
設立
1954年(1921年創業)
従業員数
107名
事業内容
畜産施設・機械器具の製造・販売(畜産飼料給餌の粉粒体搬送装置、自動集卵装置、畜舎の空調施設など)
URL
http://www.nakamatic.co.jp/

つづきは本誌2016年6月号でご購読下さい。

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