板金論壇

第4次産業革命は第1次産業(農業・畜産分野)で普及が加速 ― 序奏が終わり、これからが本番

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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大きなブレークスルーが見られないIndustrie 4.0

Industrie 4.0には、「第4次産業革命」という意味が込められている。第1次産業革命は18世紀後半に始まった蒸気機関などによる工場の機械化、第2次産業革命は19世紀後半から始まった電力の活用による大量生産の開始、第3次産業革命は20世紀後半に始まったプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)など、電気とITを組み合わせた生産工場の自動化 ― とされている。

Industrie 4.0は、これらをさらに進化させ、新たなモノづくりの姿を目指すというものだ。そのプロトタイプが、2014年にドイツで開催された「ハノーバーメッセ」で、シーメンスとフォルクスワーゲンによって示された。これは、自動車のシャシーに取り付けられたセンサーから、生産ラインのロボットに生産指示情報が送られ、ロボットがその生産指示に従ってドアの取り付けなどを行うものだった。これが本格的に導入されれば、製品ごとに異なるオプションへの要求にもタイムリーに対応することができ、仕様変更にも柔軟に対応できることになる。ところが2年経ってもこのプロトから実態面は大きくは進歩していない。

日本でも経済産業省が進める「ロボット革命イニシアティブ協議会」が発足し、いくつものワーキンググループをつくって「日本版Industrie 4.0」の議論を重ねているが、具体論となると今ひとつである。総務省、文部科学省、経済産業省が組んだIoT推進コンソーシアムも発足した。こちらは情報系企業を中心に、ビッグデータの実用面を重視した活動が進んでいるが、全体像はまだ見えない。というのも設備やロボットの状態をリアルタイムに把握するセンシング技術がまだ十分に実用化されていないからだといわれている。

各種センサーで把握された様々な機器のステータス情報を、ビッグデータとして収集・分析することで設備のメンテナンス、予防保全、予知保全に活用することが可能となり、設備の安定的な運用が完全無人で実現できるようになる ― ということだが、実用面で考えるとまだ信頼性やセキュリティー面で開発途上にあるようだ。そういう意味でIndustrie 4.0のコンセプトは十分に理解されてきているので、製造業では今後は各種センシング技術を組み合せた応用面での開発が待たれている。

つづきは本誌2016年6月号でご購読下さい。

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