特集

安全・安心に対応する食品機械と板金加工

板金加工をコアに食品機械事業へ参入

豆腐の殺菌装置から全工程のエンジニアリングへ

株式会社 タカハタ

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画像:板金加工をコアに食品機械事業へ参入①自社製品の豆腐殺菌装置/②豆腐殺菌装置の3次元モデル

「稲盛経営者賞」を受賞した3代目経営者

画像:板金加工をコアに食品機械事業へ参入高畑洋輔社長

「経営の要諦はトップが持つ心にある」とは、京都セラミックという町工場を、京セラという世界的な企業にまで発展させ、現在も名誉会長を務める稲盛和夫氏の言葉である。稲盛氏の人生観・経営哲学を学ぼうと集まる企業家たちは、1989年に「盛和塾」を発足した。以来、今日までに国内のみならず米国など海外でも「盛和塾」が立ち上がり、現在(2015年5月時点)では81塾、9,388名もの企業家が学ぶ経営塾に発展している。

稲盛氏の経営哲学に心酔する経営者は、若手を中心に板金業界にも多い。しかし、同塾が毎年開催する世界大会で「稲盛経営者賞」を受賞した経営者は少ない。今年36歳となる㈱タカハタの高畑洋輔社長は、その数少ない経営者のひとりだ。高畑社長は2013年に自らが実践してきた経営が稲盛和夫塾長から優秀と認められ、2014年の第22回盛和塾世界大会で稲盛塾長から顕彰された。

「14年前に入社したときは従業員14名、年商は2億円程度。それが現在は会社全体で従業員110名、年商20億円と、それぞれ約10倍になりました」(高畑社長)。

  • 画像:板金加工をコアに食品機械事業へ参入2015年に導入したパンチ・レーザ複合マシンACIES-2515T+AS-3015NTK+ULS-3015NTK
  • 画像:板金加工をコアに食品機械事業へ参入2015年に導入したベンディングマシンHG-1303(右)とHG-8025(左)による曲げ加工

53年前に電装工事業からスタート

㈱タカハタは、1963年に香川県高松市で「四国照明器具」という屋号で創業し、特殊照明器具の製作を中心に事業活動を行い、電気工事業者から配電盤の製作依頼を受けるようになった。1967年に㈲高畑電機として会社を設立、初代社長に高畑政一氏が就任し、配電盤や分電盤などの製作と同時に工事業も営むようになった。

1981年、2代目社長として高畑社長の父である高畑孝氏が就任。当時はバブル景気前で、工事に関わる電気部材などの価格高騰に加え、同業他社との厳しい価格競争に苦労した。そこで事業を配電盤・分電盤の筐体製造に特化。板金加工と塗装を社内で行うことで合理化を図り、製造体制を整え、工場設備業者や検査機メーカーから配電盤・分電盤・キュービクルなどを受注して社業を発展させていった。

こうした中で小さい頃からサッカー少年だった高畑社長は、愛知県内の大学にスポーツ推薦で入学した。定員5名の枠に、全国から70名もの高校生が応募したが、高畑社長はこの難関を見事突破、入学後はサッカー一筋で過ごし、4年生の時にはサッカー部の主将を務めた。地元に帰ってからは、現在Jリーグに所属するクラブチームにも在籍した経験を持つ。その後は、愛知県内の工作機械メーカーに研修生として出向、板金工場で工作機械カバーの製作に携わった。

㈱タカハタに入社した当時は、受注競争が厳しく、会社の経営はけっして順調ではなかった。

「社員が退社したりして、ムードも良くはありませんでした。祖父や父が何よりも大切にしてきたことは、『従業員を大切にする家族経営の実践』と『人の心を想い、ご縁に感謝すること』の2つ。このことを揺るぎない経営の心として肝に銘じ、お客さまの信頼を得て仕事を受注してきました」と、高畑社長は入社した当時の会社の状況を振り返る。

画像:板金加工をコアに食品機械事業へ参入左:2013年に導入したファイバーレーザ溶接システムFLW-4000。長手方向に6m走行可能。天井にはクレーンで製品を投入できる開口部(赤枠部)を設け、搬出入を簡便にしている/右:ファイバーレーザ溶接された豆腐殺菌装置の槽

会社情報

会社名
株式会社 タカハタ
代表取締役
高畑 洋輔
住所
香川県高松市三谷町3234-10
電話
087-888-5852
設立
1967年
従業員
110名
事業内容
①電機事業:受配電盤・制御盤の製作、産業機械の設計・製作/②食品事業:食品機械の設計・製作、大豆・食品添加物・資材販売、豆腐製造販売
URL
http://www.takahata.cc/

つづきは本誌2016年3月号でご購読下さい。

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