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最先端の設備力と設計提案力が武器

日本の医療、インフォメーションサービス機器分野の新開拓を狙う

微勤電機股份有限公司(Wee Chin Electric Machinery Inc.)

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画像:最先端の設備力と設計提案力が武器①2年前に台湾1号機ユーザーとして導入したファイバーレーザマシンFLC-3015AJ/②新たに導入したファイバーレーザ複合マシンLC-2515C1AJ

景気が減速する台湾

画像:最先端の設備力と設計提案力が武器楊忠波総経理

台湾の4~6月期の実質GDP成長率(速報値)は前年同期比+0.64%となり、前期(同+3.37%)から大幅に減速、12四半期ぶりの低い伸びとなった。前期比年率ベースでも▲7.65%と前期(同+2.74%)から9四半期ぶりのマイナス成長に転じるなど急速な景気減速に見舞われた。しかし、依然として雇用環境に底堅さがみられる上、昨年末以降の
原油安などにともなうインフレ圧力の低下などにより個人消費は底堅く推移、内需を中心に堅調さもうかがえた。

一方、中国景気の減速に加え、それにともなうアジア新興国の景気減速も影響して輸出が大きく低迷して景気の足を引っ張っている。台湾はアジア域内でも相対的に経済の輸出依存度が高く、外需の弱さが景気そのものを大きく左右することも影響したとみられる。台湾経済部が発表した5月の輸出受注は前年同月比5.9%の減少(4月は4%減)で、過去2年余りで最大の落ち込みとなった。地域別では、中国からの受注が11.6%減少、米国からの受注は5.2%増加。欧州、日本からの受注はそれぞれ1.7%減、23.8%減となった。日本向けの輸出が大きく落ち込んでいるのは大幅な円安、台湾ドル高となっている為替市場の動向を反映した結果となる。

経済活動を分野別で見ると、海外資金の活発な動きを反映して、金融などサービス部門の生産に底堅さがみられる一方、輸出の低迷を受けて製造業や建設業などの生産
に軒並み下押し圧力が高まった。台湾政府は5月に発表した1 ~ 3月期のGDP統計の発表にあわせ、今年通年の経済成長率見通しを▲0.5ポイント下方修正して、前年比+3.28%と発表したが、4~6月期が上記の見通しの想定(前年比+3.05%)を大きく下回ったことで、今後はさらなる下方修正を余儀なくされるとみられている。

日本の仕事は円安の影響で赤字に

台湾経済減速の要因のひとつと考えられる円安の影響で、収益にも影響を受けているのが、日系アミューズメントメーカー7社からの仕事が売上の5割弱を占めていた微勤電機股份有限公司。

同社を初めて訪れた2013年12月当時、円と台湾ドルの交換レートは、1台湾ドルに対して円が0.2838円だった。日本円1万円を台湾ドルに両替した場合、2,838台湾ドルを受け取ることができた。ところが本年7月31日の時点では、1台湾ドルが0.2540円と10%強の円安で、1万円は2,540台湾ドルとなり、1年半前に比較すると298台湾ドルの差損となっている。

こうした為替レートの変動を考える際、同社が日本から受注した仕事は日本側(発注側)から見ると円ベースでは変わらないが、同社では10%の為替差損が発生する。さらに、日本のサプライヤーとの受注競争に巻き込まれると、価格競争で受注単価はさらに下がるため、利益率はますます悪化。日本側から見れば、これまで台湾で外製すれば日本の単価よりも10%のコストダウンできていたが、円安でそれが不可能になった。ならば、わざわざ台湾のサプライヤーに発注しなくとも、日本のサプライヤーで十分対応できるという判断に転じるようになる。こうした製造回帰が加速すれば、売上の半分を日系企業の仕事で占めてきた同社にとっては大変厳しい状況となる。

画像:最先端の設備力と設計提案力が武器左:アミューズメントマシンだけではなく精密板金加工品なども製作する/右:ベンディングマシンの横にはPDF化された図面を見ることができる端末を設置。作業者1人ひとりが三面図をいつでも参照できる仕組みを構築

会社情報

会社名
微勤電機股份有限公司
総経理
楊忠波
住所
台湾・高雄市大寮鄉大發工業區華東路57-1號
電話
+886-7-788-4949
設立
1980年
従業員数
160名
主要事業
スロットマシン・ギャンブラーマシンの金属製キャビネット、各種アミューズメントマシンの筐体設計と製作、自動販売機、キオスクマシンなどの筐体設計・製作
URL
http://www.weche.com.tw/

つづきは本誌2015年10月号でご購読下さい。

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