板金論壇

ベトナムから見た日系企業の工場進出/研修制度の光と影

『Sheetmetal ましん&そふと』編集主幹 石川 紀夫

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ベトナムへの関心が高まる

最近、板金業界でもベトナムに関心を寄せる企業が増えている。すでにベトナムへ工場進出した板金企業は、私が把握しているだけでも10社を超える。そして、これから進出を計画している企業も同程度はある。

特にここ10年は、外国人研修生としてベトナム人を受け入れる板金企業の数が増え、その結果、3年間の研修期間を経てベトナムに帰国した研修生をコアメンバーにして工場の設立を考えたり、板金展開を中心としたプログラムサービスをアウトソーシングするために事務所を開設したりするケースが聞かれる。中には知り合いの板金工場にも声をかけて数社が連携し、日本で受注した製品の板金展開をベトナムで行い、DXFデータで日本へ返送、日本ではCAM割付を主に行うことで、多品種少量生産によって加工品目数が増え、短納期対応が求められている現状の打開を考える企業も増えている。

ベトナムの人口は9,170万人。東南アジアで第3位、世界で第13位の人口となっている。平均年齢は28歳と若く、まさに国が青春期から壮年期へと向かう時期となっている。毎年約150万人が労働市場に参入しており、農村部の労働力を活用することで当面のところは労働集約型産業も可能な労働環境とされている。また、国民の80%が仏教徒で、労働者の性格も勤勉で、知的水準も高い。また、女性の就労意欲が高く、労働者としての質は男性労働者を上回るとも言われている。

経済成長率は5~6%台を維持

ベトナムは1986年のドイモイ政策実施後、市場経済へ転換。1992年からアジア通貨危機が起こる1997年までは、年平均8.9%という高い経済成長を実現した。アジア通貨危機後の2000年から2007年までの間も7%前後の高成長で推移した。2008年はリーマンショックに加え、物価上昇率が22.97%となり、インフレ抑制政策を実施したことでGDP成長率は5.66%に留まった。

2009年以降2014年までは5~6%台の成長を維持している。この間、ベトナム政府は、2014年には法人税率引き下げ(25%から22%へ)による国内産業の活性化、外資企業の誘致強化などの対策により、成長率達成を目指してきた。2015年も前年並みの6.0%の成長が見込まれている。

つづきは本誌2015年9月号でご購読下さい。

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