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変わるアメリカの板金業界

加工ラインナップの強化で顧客ニーズの変化に対応する―FMAアンケート調査結果より

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画像:変わるアメリカの板金業界

米国板金製造者協会(FMA:Fabricators & Manufacturers Association)はアマダ・アメリカ(Amada America, Inc.)と共同で、米国板金業界の動向を把握するためアンケート調査を実施、今年5月に調査レポート「競争力の構築」(Building a competitive advantage)をまとめた。米国の板金市場は日本と比べて中厚板が多く、ロットサイズが大きいといった傾向はあるものの、「差別化のためには、より多くの加工ラインナップを提供して顧客ニーズの変化に対応するしかない」「設計提案や塗装、組立、物流などのサービスが競争力強化をもたらしている」といった調査結果は、日本の板金業界のトレンドとも相似しており、グローバルで板金業界に変化対応力が求められていることが明らかになった。FMAの許諾を得て、調査レポートの概要を転載する。

得意分野は何ですか?―FMAによる総括

今日の下請け金属加工企業にとっては、多くの種類の加工を提供できることがセールスポイントになってきている。マシニングセンタによる機械加工や、粉体塗装などを採りこむと同時に営業業務も拡大してきた。サプライヤーが設計も手がけるようになって久しいが、今回の調査結果もそれを裏づけている。設計サービスは行わないと答えたのはアンケート回答者の10%のみであった。

加工業者に最も競争力をもたらした技術は何か? 多くの企業が切断または溶接と答えているが、これは容易に想像できる。近年、切断のスループット(処理能力)はファイバーレーザや駆動装置の進歩のおかげで大幅に改善されている。さらに溶接では、完璧なビードをつくり出せれば、顧客に注目される。

もちろん目新しい工程を取り入れることですべてが解決するわけではない。新しい工程をモノにするまでの習熟曲線を軽視した結果、技能とのギャップがあることも珍しくない。顧客層や仕事の構成が変わり、新しい工程が計画どおりに使われなくなることもある。市場の圧力も工場にとっては常に課題だ。アンケート回答者によれば、予期せぬ需要増による工数計画の失敗などは競争力が下がる原因となっている。

サプライヤーはかつてないほど多くの加工方法やサービスを提供している。3年前と比べて提供する加工の種類が減っていると答えた企業は数えるほどしかいない。顧客のニーズに沿ったサービスを提供できない企業を、サプライチェーンは待ってはくれない。市場に参入する企業は増え続けており、3年前と比べてより多くの加工サービスを提供していると答えた回答者は41%にのぼる。

なぜこれだけ多くの企業が加工の種類を増やし、サービスを絞り込むところが少ないのか? 今回調査を行ったいくつかの企業によると、差別化するためにはより多くの加工ラインナップを提供し、常に変化し続ける顧客のニーズに合わせるしかないという。つまり新たな顧客のニーズを発見できるかどうか―設計支援や粉体塗装、組立、物流サービスなど、この「他の何か」をみつけることがサプライヤーの成長のカギとなる。

画像:変わるアメリカの板金業界

つづきは本誌2015年8月号でご購読下さい。

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