特集2

高い国際競争力を備える台湾(その2)

全員白紙の状態から10年で売上10倍に

梱包機器メーカーの板金製造部門として設立、今では工作機械カバーの一括受注まで対応

英達茂 股份有限公司(INDARB INC.)

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画像:全員白紙の状態から10年で売上10倍にプログラム室。SheetWorksを使った設計が行われている

1979年、梱包機器メーカーPACKWAYを設立

同社の創業者である建發総経理は、1978年に梱包資材の会社を設立、台湾の代理店から日本製の梱包機器を仕入れ、販売などを手がけ始めた。その翌年の1979年には梱包機器メーカー・緯華企業股份有限公司(PACKWAY INC.)を設立。当初はごくシンプルな構造の梱包機器の製造からスタートし、設立5年後には「より独自性をもった自社製品を開発する必要がある」(総経理)と考え、R&D部門を設立。自社開発製品のラインナップを充実させるとともに、少しずつ事業を拡大していった。

1979年の会社設立から2003年まで、PACKWAYはフレームやカバー、構造部品といった板金部品のほか、機械加工部品、鋳物などすべての部品加工を外注に委託して、自社の製造工程では組立のみを行うアセンブリーメーカーとしての立ち位置だった。

そこで、総経理は2004年、PACKWAYに板金部品を供給する目的で、英達茂股份有限公司(INDARB INC.)を設立。求められる品質・納期で板金部品をPACKWAYへ安定供給できる体制の構築を目指した。

「INDARBを設立した最大の理由は、納期対応です。外注に頼っていたのでは納期が常に遅れがちで、生産計画が立たず困っていました。それに自社で製品開発を行うと、量産ばかりでなく、試作もあれば設計変更もある。ロットが小さく、頻繁な設計変更への柔軟な対応が求められ、外部の協力工場では十分に対応できません。そこで、梱包機器を構成する部品の中でも比率が高い板金部品を、自分たちで加工・供給できる体制をつくろうと考えました。内製化によって品質の管理も行き届くようになり、製品のノウハウを守ることにもつながります」。

「板金工場の設立を考え始めたのは2003年末。アマダ台湾の営業マンに相談して、いろいろなアドバイスや提案を受け、新たに板金製造部門をつくろうと決断。2004年1月にINDARBを設立、それから順次設備を導入していきました」(総経理)というように、決断してからの展開は極めて早かった。

画像:全員白紙の状態から10年で売上10倍に建發総経理

未経験者5名でのスタート

現在、INDARBの売上に占める比率は、PACKWAY向けの部品供給が30%、残り70%は板金ジョブショップとして外部からの受注で、仕事量は右肩上がりで増えている。

「PACKWAYの社内の一部門でなく、別会社としてINDARBを設立したのは、ジョブショップとして外部の仕事を獲得しやすくするためです。これもアマダ台湾の提案のひとつで、狙いは的確でした」

2005年、最初の加工設備としてレーザマシンFO-3015NT(出力4kW)とベンディングマシンHDS-1303NT、ロボット溶接機を導入し、本格的に事業をスタート、3次元ソリッド板金CAD SheetWorks、2次元CAD/CAM AP100といったソフトウエアも充実させていった。パンチングマシンではなくレーザマシンを導入したのも、当初からジョブショップとして営業することを念頭に置いており、保有金型の種類に制約されずに材質、板厚に自由度を備えたレーザマシン ― それも厚板切断に対応できる4kWの高出力レーザ発振器を搭載したマシンを導入した。

「PACKWAYの仕事だけであれば、パンチングマシンで十分でした。しかし、外部の仕事も受注していこう、と考えたとき、薄板から厚板まで対応できるレーザマシンを優先的に導入すべきと判断しました」。

画像:全員白紙の状態から10年で売上10倍にブランク加工を終えたあとは、注文番号・部品番号・客先・板厚・寸法・個数が印字されたシール(右下)を製品1点ごとに貼付。進捗管理にも活用している

つづきは本誌2015年3月号でご購読下さい。

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